高校受験の進路指導は10年以上やっていますが、とても難しいものです。世間で「合格は難しいよ」と言われていても意外とあっさり合格できる高校があったり、模擬試験でA判定でも落ちる可能性が高いケースがあったり、その逆も然りであったり、周囲の噂や雰囲気、イメージでは絶対に分からない秘密が毎年たくさん見つかるからです。
したがって、本当にベストな高校受験の進路指導を目指すためには、高度に専門的な知識が必要であることは間違いありません。毎年毎年データを更新して、合格した塾生の性格や人間性、勉強方法とその結果を照らし合わせ、数字以外の情報も頭に入れなければ、次の年の受験生に対してベストなアドバイスはできません。
塾の責任者として少しでもこの専門的知識を磨き上げようとしていると、世間のイメージと真実は大きく異なることに気づきます。例えば、京都府の高校受験には下記のような事実があります。
これらは、長年の合否結果を地道に集めてリストや表にしてまとめていなければ見えてこない事実です。当然、塾内で保管しているこのデータと事実は公表されることがないため、真実と世間イメージとのギャップが埋まることはありません。
だからこそ、「塾の進路指導」は受験生と保護者の方々に対してプロのサービスとしての大きな価値を提供するチャンスなのであって、これこそが塾に対してお金をいただく正当な根拠となります。
では、学校の先生や中学生対象の学習塾は、漏れなくこういったデータを集めて論理的な説明をし、生徒の希望を汲んだ受験の後押しをできる人ばかりでしょうか?
このブログは、具体的な根拠とデータを出さないような “進路指導” の結果で悩んでいる中学生や保護者の方のために書きます。
学校や塾の三者面談において、「この学校は難しいし、滑り止めの第二志望校も安全ではないので、〇〇高校なども受けてください」と言って、思ってもいないような高校を提示され、「え、こんなところしか行けないのかな…」と困惑してショックを受けたと言う話を数えきれないほど聞いています。
もしあなたがまだ学校や塾の進路指導を経験していないなら、近い将来にそんなことを言われる可能性がありますから覚悟してください。毎年必ずこう言われてお悩みをもつ相談を受けますし、それがなかった年は一度もありません。特に中学校の進路指導は公務員志向すぎて、希望を持って学ぶべき中学生にはそぐわない進路指導が行われる事例が多くなっています。
「ここも落ちるから、他の⚪︎⚪︎高校を受けろ」という進路指導の何が問題なのでしょうか?ただ単に、生徒を思うが故に安全策をオススメする、生徒と家庭に寄り添った素晴らしい進路指導なのではないでしょうか?
高倉塾は2つの理由から、こういった進路指導は「一旦疑ってみるべきだ」と考えます。
そういった進路指導を受けた時は、「落ちるかもしれませんよ」と言う提案に対して、具体的で説得力のあるデータが添えられているのかどうかを思い出してください。
例えば第一志望がA高校で、滑り止めとしての第二志望がB高校。そこで「A高校も難しいし、B高校も安全ではないので、C高校やD高校も受けてください」と言われたとしましょう。
その時、まずその言葉を鵜呑みにする前に、「この先生がB高校すら安全ではない、と考えている根拠は何なのか」を考えなければなりません。
- B高校の開示データによると、例年の合格者/受験者の割合は73%程度であり、合格者平均の評定は36である。平均から上下20%が合格者であると仮定すれば、あなたの評定はそこから20%減であるからギリギリの戦いとなり、不合格者30%に入る可能性も高い
- あなたの評定のままでB高校を受験した先輩たちの合格率は直近3年間で50%であるから、不合格率は1/2となり、故に合格率がほぼ100%となるC高校の受験も検討しなければならない
進路指導では、上記に加えて個人の模試の結果などを照らし合わせて具体的に戦略を提案することが求められます。
具体的なデータを収集し、それに基づいて可能性を弾き出した上で「B高校ですら安全ではない」と伝えられたのであれば、まだ一考の余地があるでしょう。しかし現実では、「具体的な根拠とデータを提示されて、その上で受からないと言われた」という話は聞いたことがありません。
よくあるパターンでは、内申点が推薦の基準に届かない、という一点だけで「ここの合格は難しい」と伝えられてしまうことです。これは無茶苦茶な話であり、私立高校の場合は推薦基準に届いているかどうか、と先願や併願受験での合格率には何の関係もありません。人気の高い私立高校であっても、推薦と併願の合格率がほぼ変わらないことも珍しくありません。これこそ、地道にデータを収集していなければ分からない事実です。
少なくとも京都府の高校受験においては、推薦のような100%に近い約束がなければ「安心できない」と結論するのは本当に無理があります。
進路指導は、データに沿ったものでなければ全くの無意味です。数字を提示できない進路指導を信じてしまって、自分たちの意思をぐらつかせてしまうことはやめてください。
第一志望に合格するためには、頭の中がクリアでシンプルに、すっきりと整理されている必要があります。
「私の第一志望はA高校であり、そのためには当日の点数で数学⚪︎点、英語⚪︎点… を取らなければならないし、そのためにやるべきことはアレとコレだ。今日はコレをやる日である。」
といった具合に、迷いなく清々しい気持ちで毎日を目標に向かって突き進むことが重要であるのです。そんな精神状態で勉強できると、大きく自分の能力が高まります。
逆に、極端な話ではありますが、「自分では無理かもしれない、落ちたらどんな気持ちだろうか、友達にも馬鹿にされるかもしれない、C高校やD高校に入学することになって最悪だ、大学受験も失敗してニートになったらどうしよう、やはり自分は合格者よりも才能がないのかもしれない」とか、考える必要がない余計なことで頭が満たされてしまった場合、心ここにあらず、第一志望合格のために必要なことに集中できませんし、もちろん想像通りに不合格となります。
根拠もなく「A高校は無理で、滑り止めのB高校すら難しいから、C高校とD高校も受けてみては?」と当人が思ってもいないような高校を提示されてしまうと、頭の中がネガティブな情報で埋め尽くされてしまいます。「A高校やB高校に行くために一心に頑張りたいのに、こんなところも考えなければならないのか。週末は第一志望のために勉強したいのに、気乗りのしない高校の説明会にまた行かなければならないのか」というような心理的負担をいたずらに増やすことになってしまいます。これは進路指導が害悪になっている典型例だと思います。
私がこれを問題としている理由は、B高校の合格率が極めて高い場合であっても進路指導者がそれを知らず、上記のような誤った情報が与えられて何人もの中学生が目標を諦めている現状があるからです。
成績優秀、模試も常に高偏差値を叩き出す中学生はとても楽ですが、普通は「今のままでは第一志望に受からない」ような状況にあるはずです。
そんな中学生の進路指導をすると、本人と保護者の方の不安を痛いほどに感じます。第一志望はあるけれども、考えることや不安で頭がいっぱいになってしまうのです。
「第一志望はとても難しいのではないか」「滑り止めにする第二志望ですら不合格になるのではないか」
これらは漏れなく全員が感じる不安ですし、もっと厳しい状況にあれば「もはやどこも合格せず、中卒になるしかないのではないか」くらいに感じている人もいます。いずれにせよ、大きな不安に苛まれていることに違いありません。
ここで不安を解消するため、「そもそもの高校入試の目的」を思い出してみましょう。
高校入試の目的は、「より高い偏差値の高校に合格すること」とか「第一志望に合格すること」だけがフォーカスされてしまいがちですが、本当のところはそれにプラスして、「中学生が目標に一心に向かい、合格のために工夫して頭を使い、勉強に集中すること」を重視する必要があります。
多くの中学生にとっては高校受験は人生を左右する数少ないチャンスの一つだし、公立中学校に通う生徒は特に、人生で初めてのターニングポイントとなります。初めて将来について真面目に考えて、自分の進む道を決めなければならないような、精神的な成長を遂げるための貴重な機会となっています。これを逃さずに素晴らしい経験にするためには、自分で設定した高いハードル(第一志望校)に向かって迷うことなく邁進する環境を整えてあげることが最重要課題です。
こう考えた時、やらなければならない進路指導は、「本人と保護者の頭の中をシンプルにして、毎日のやるべきことに集中できるようになってもらう進路指導」です。元々、受験に対しては全員が例外なく不安や悩みを持っています。その悩みを解き明かし、苦を抜き楽を与え、具体的な道筋を提供し、伴うリスクも説明した上で「やるしかない」と覚悟を決めて突き進んでもらえるように導いていくことが1番大切です。これこそ、本人や保護者の方が求めているような状況だからです。
こういった観点が感じられない進路指導を受けてしまい、そして悩んでしまったのであれば、思い切って受け流してしまうのも良い選択肢です。
高倉塾が中学生にやってほしいことは、とにかく自分の目標とする高校に合格するために全てを出し切るような経験です。周囲の声に左右されず、合格した先輩たちの例を知ってください。
- オール3弱で京産大附属高校を志望し、担任の先生から「絶対に落ちるから志望校を変えないといけません」と言われ保護者と本人はパニックに陥ったが志望校を変えずに合格。
- 英語が3だから先端附属の国際コースは難しいと進路指導されたが、受験して普通に合格
- 事情があって9教科22, 大谷高校を志望していたが「評定的に受けるべきではない」と言われるも受験して合格
これらは簡単な事例ではありませんが、全て「データの裏付けがない進路指導を決して信じず、志望校合格の希望を持って受験対策した」からこそ得られた成果です。忘れないでほしいのは、「ここも落ちたらどうしよう、無理かもしれない」なんてことで頭をいっぱいにして、貴重な週末をC高校やD高校の学校見学に使い、不安を募らせていたらやるべきことができないし、決して合格は勝ち取れなかったということです。
頭を使うのであれば、「合格のためには英語長文を毎日しないといけない、今日はあれを勉強しておこう、苦手な理科は毎日これをやって…」というような、第一志望合格のための道筋について悩む環境に身をおいてください。
失敗を恐れずに立ち向かう、前向きなエネルギーは人生を左右する力があります。中学生年代はまだまだ成長段階であり、その時期は後ろ向きなことばかりを考えていては決して能力を伸ばせません。せっかく考えるのであれば、合格の希望について考え、それを推進力に変えて日々の鍛錬に取り組んでほしいです。
進路指導には明確な数値的根拠を提示しつつ、学力的にも精神的にも、最後まで第一志望への挑戦をバックアップし、一緒に目指せるような塾でいたいと思います。高倉塾の進路指導の一部内容は下記にまとめました。