2024年度入学生の高校入試が終了しました。今年もとても大きなプレッシャーのかかる受験でしたが、精神的な全てを捧げて走り抜くことができた年となりました。一緒に乗り越えてくださった保護者の皆様に深く御礼申し上げます。
今年も、「私立が第一志望」「公立の普通科に何としても入りたい」と考える塾生から、「最難関高校を目指したい」と強く願ってくれる塾生まで、さまざまなドラマがありました。
高倉塾はあくまでも個別指導の範囲内で最難関高校まで導けるようにカリキュラムを考えています。そして京都府の公立最難関高校の中では、比較的嵯峨野高校への受験者が多いです。
最近5年間の合格者数は下記のようになります。
2020年度入学者… こすもす科2名、普通科 受験者なし
2021年度入学者… こすもす科2名、普通科 2名(1名前期、1名中期)
2022年度入学者… こすもす科1名、普通科 受験者なし
2023年度入学者… こすもす科3名、普通科 受験者なし
New! 2024年度入学者… こすもす科1名、普通科 2名(前期合格)
高倉塾は個別指導であることもあり、入塾者の学力レベルはまちまちであり、教室のキャパシティとしても毎年の受験生はせいぜい20人です。こういった最難関校を目指す塾生となると、毎年5人ほどに落ち着きます。人数は少ないものの、モチベーションが高い塾生が多いおかげで合格率は高くなっています。昨年度と今年度においても、不合格者は出ませんでした。
「もともとそんなにエリートではなく、今から学力を伸ばして合格しなければならない」と考える中学生である場合、嵯峨野高校へ合格するためステップは複雑であり、それ相応の根気とモチベーションが求められます。
その中でも、最も重要なエッセンスのみを記したいと思います。

こすもす科は独自問題を解かなければならないため、学校の成績が取れているだけでは明らかに不十分です。学校の定期テストで全て90点以上を取っており、評定も「5」ばかりであったとしても、それだけでは2月の試験において合格点を取れる見込みはとても薄いです。
つまり5教科においてたくさんの難問を解かなければならないわけで、これはこのための入念な準備、勉強時間が求められます。逆に言えば、こすもす科は学校評定の圧縮がある分、この当日試験さえ点数が取れれば合格率はとても高いです。素質はあるけど提出物を出さない(後で心を入れ替えた)とか、事情があって学校に行けないとか、学校の評定が低い生徒にとっても魅力的なチャレンジとなります。
つまり、学校の評定が高いことはもちろん大前提であっても、こすもす科に合格できるかどうかはズバリ「これから頑張って、2月の時点でこすもす科の問題で6~7割が取れるだろうか」が最も大切な問いであって、よくある「この成績で合格できるだろうか」という問いはあまり意味をなしません。現状の成績はあまり関係ありませんし、ましてや「学校のテストで90点が取れなかった」とか、「数学が5だったのに4になってしまった」など、些細な学校の成績に落ち込んだりする必要はまったくないということです。難関校の合格は、いい意味でも悪い意味でもそういう次元の話ではない。
したがって合格のためのエッセンスとしては、いかに当日試験の対策をするか、に絞られます。

中3から本格的に勉強を始めると仮定します。春休みは必ず、中3範囲の先取りを猛烈に進めていることが理想です。たとえば数学でいえば、3月の時点で因数分解は応用まで演習を済ませている必要があります。つまり、中学校より2ヶ月の先取りができていることが理想です。もちろん「解けた」程度ではなく、「問題演習もたくさん済ませた」レベルまで。
なぜ先取りが必要であるかといえば、受験問題に早くから取り組む余裕を作るためです。中3になれば、全教科においてすでに受験問題が解けるところまで来ています。そこに余裕があればあるほど、最初から受験レベルの問題に慣れることができるのです。
必ずしも先取りができていなければならないわけではありません。塾からの合格者の中には、学校と進むペースが同じで、最後の受験シーズンに帳尻を合わせて合格したことは珍しくありません。ただ、できるなら最低でも1ヶ月は先取りできていることを目指しましょう。
先取りのための基礎練習はどんなテキストでも問題ありませんが、高倉塾では『新中学問題集(標準)』を採用し、たまに発展編の問題を解かせています。

塾に通っているのであれば、授業中に問題演習し、宿題や小テストをこなし、次の授業で間違えた問題をチェックしてもらうだけでスムーズにレールに進むことができます。独学で行う場合は、間違えた問題をチェックし、何度も何度も演習問題をとき進めるマメさが必要です。
中3になれば受験問題も解けるようになっています。数学と理科に関しては分野ごとの縦割り傾向が少し強いので、1学期が終われば、公立高校の普通科レベルの問題は余裕を持って解けるようになっています。
これを並行してコツコツ行っておくと、秋以降に大きなリードを持つことができるでしょう。高倉塾においては『シリウス まとめと完成』を使っています。公立普通科レベルから多少の難易度が高い問題まで網羅的で便利です。薄くてやる気を削がない。

英語に関しては、長文読解が全てであって、その長文には3年間の文法が全てフル活用されています。したがって、中3の早い段階から解ける入試問題が少ないのが現状です。そんな場合は、「現段階の文法知識で読める長文読解問題が載っているテキスト」を使った長文を読むようにしてください。『新中学問題集』はそれに該当します。
赤本(過去問)にどれだけ向き合えているか、が全ての勝負です。過去問はとても難しいので、最初の段階から解ける問題はとても限られます。ただ、毎日の勉強習慣による先取り学習、なおかつ夏休みの追い込みができていれば、10月頃には過去問演習を開始できる可能性があります。12月から始めても合格は可能ですが、万全の状態が早く作れるならばそれに越したことはありません。
最低でも5年分、できれば10年分は解いて、解説まで終わらせてワンセット。確実な合格まで3セット目指します。高倉塾では冬休み以降はほとんど過去問個別指導に費やしています。

それに加え、こすもす科合格を目指す人には下記高校の過去問を毎日コツコツ行うことが効果的です。
- 西京エンタープライジング
- 桃山自然科学
- 立命館
- 同志社
上に書いたものほど優先順位が高いです。こすもす科と西京の問題傾向は異なりますが、同程度だが異なる視点の問題にコツコツと触れることはとても大きな財産になります。
ただし、受験対策のメインはこすもす科の過去問でなければなりません。西京や桃山自然科学の問題にじっくり取り組む時間を作る必要はありません。むしろそれは時間の浪費になってしまう危険性もあるため、下記のような取り組み方を意識してほしいと思います。
- 冬休み期間において、西京や桃山自然科学の問題を1~2問毎日解いて、解説を受ける
- こすもす科過去問で学んだものと同じ単元の西京過去問を、小テストとして使う
高倉塾が行うのは上記2つであり、これらを少しずつ解いておくことで合格率は確実にアップします。
時に、難問に挑戦しすぎて挫折感を覚えることもあるでしょう。こすもす科のような高い目標を持つ人ほど、自分を追い込んでしまいます。ただ、そうなると頭がパンクしてしまい、希望を失って「もう嫌だ」と感じてしまうリスクが高まります。そうなってしまうと、自分の実力以上のゴールに到達することはできません。毎年たくさん、こうやって停滞してしまう受験生が生まれています。
そう感じた時こそ、一息つくタイミングです。受験勉強はあくまでも楽しみながら進むべき道であって、難しすぎる問題に囚われ過ぎず、自分のペースで学習を進めること。合格は、嫌にならずに続けることができる人のもとへやってきます。「こんなもので良いのだろうか、このままで合格するだろうか」とか、不安になっていては合格できません。自信を持って前進できるような体制を作ってください(仲間や、相談できる人を作ること)。
それで十分に合格するのが、こすもす科です。肩の力を抜きつつ、毎日猛勉強してください。
嵯峨野高校を目指す場合、普通であればこすもす科を目指すことになるでしょう。こすもす科の受験には特に大きなリスクがなく、積極的に狙うことで合格する可能性も高いからです。

とは言うものの、中には「こすもす科よりも普通科の方がいい」と考える受験生もいます。そんな受験生は、少なくとも前期選抜での合格を目指して走らせたいところです。

嵯峨野高校の普通科に合格するために考慮すべき3つの重要なポイントを紹介します。こちらは正直に言えば、嵯峨野高校に限らない、全ての受験生に妥当する話です。
こすもす科受験と大きな違いはここです。嵯峨野高校普通科に合格したいなら、まずは9教科の成績を40まで上げることを目指します。報告書点で大きな遅れを取らないことが合格への最低条件になりますし、ここが低ければどれだけ努力しても合格点数には届きません。まずは成績を取ることが大事です。
低い評定では当日に素晴らしい点数をとっても合格できません。まずは土俵に立つことから始めます。
普通科の入試では、こすもす科のような高度な難問が出題されることはありません。そのため、難解な問題に固執することは時間の浪費となってしまう危険性があります。普通科の問題は、基礎から少しの工夫で導き出される問題で構成されているのです。

しかし、これは普通科の問題に挑戦する価値がないということではありません。実際、普通科の問題には独自の奥深さや、理解を深めるための難問が多く存在します。成功への鍵は、これらの問題をじっくりと、根気強く解き明かしていくことにあります。したがって、より効果的な学習方法としては、過度に難問を求めるのではなく、普通科レベルの問題に潜む洗練された難題に取り組むことが推奨されます。
塾の取り組みとしては、冬休みは前期選抜の過去問を時間を測って解く「ミニ模擬試験」を毎日受けてもらいました。

前期選抜の過去問を人数分印刷し、全員が時間内に解きます。この練習を通じて、生徒は試験の時間配分をマスターするだけでなく、効率的な解法スタイルも身につけることができます。そしてこの練習の後には、間違えた問題について個別に解説を受けることが欠かせません。この一連のプロセスを繰り返すだけで、普通科レベルの問題を解く実力が着実に高まります。
今年は前期で合格したい塾生がいたので、10~15年分は終了させることができました。確実な合格のためには、5年では足りないのではないでしょうか。一つ一つの問題に対して個別指導で解説することができたことは、当日点数を稼ぐために不可欠であったと思います。
個別指導塾や家庭教師にて勉強している人は、そういったフォローを求めてみてください。