【英語長文】探究科やこすもす科等と公立普通科の入試問題は、難易度に大きな差はない。ではどこに差があって、高倉塾は何を重視しているか

私は京都府の高校入試問題は、もう10年以上解き続けていると思います。今回はこの中でも、苦手とする中学生も多い英語長文読解について、難関高校と公立高校普通科の違いを示しておきましょう。


そこから、難関校の英語得点を安定させるためには中期選抜をトレーニング台とすることがセオリーであることを示します。

度々伝えている「英語の重要性」

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京都府の高校受験、どこを受けるにしても英語さえできれば合格率は飛躍的に高まります。なぜでしょうか?


理由はたった一つ、「点数のブレを最も抑えられる教科だから」です。英語は、問題用紙に答えが書いてある貴重な教科あり、数学や理科、社会と異なり、「すべて読めば解答できる状況」が整っています。得意な生徒にとってはすがりつきたくなるような、そんな価値のある教科になっています。


国語は古文や文法知識が問われる割合もそれなりに存在し、母国語であることもあるため「読めればなんとかなる」とは少し言いにくい問題も出題されます。しかし英語にはそんな捻りは存在しません。シンプルに「英語の長文を、スピーディに内容把握する力があるのか」のみを問われるため、まさに「読めれば解ける」問題ばかりが揃っています。

schoolchild solving elementary science test【専門学科】に合格したければ、今日から毎日英語を勉強せよ


難関高校の受験生であっても、普通科の受験生であっても、私立高校が第一志望の受験生であっても何も変わりません。この英語長文を最大限まで鍛え上げなければ、本当の意味で合格率をアップさせることは難しいです。

10年以上の経験から感じる、中期選抜の英語と探究科やこすもす科の英語の違い

「探究科やこすもす科など、難関高校(コース)の長文はとても難しいであろう。普通科の問題なんて解いているようでは、合格できないのではないか」と思われるかもしれません。「もっと難しい高校の過去問を解きたい」とよく言われますが、塾生によってはその気持ちを少し抑えてもらう場合もあります。

  • 堀川探究や嵯峨野こすもす、西京エンタープライジングあたりは一部のエリートっぽい子が合格するものだ
  • それに比べて普通科の試験なんて公立志望の中学生すべてが受験するような試験だから、簡単だ

こういったイメージがあるため、中期選抜の問題に魅力を感じないのも無理はありません。


ただ、どちらも10年分以上は入試問題を解き、指導を続けている立場から言えば、そのイメージは間違いです。実は英語に関して、公立普通科と難関高校の英語長文の本質的難易度にはほとんど差がないのです。

  1. 文中で活用している文法に違いはない
  2. 難関校だからといって、高校レベルの英単語を駆使して作られているわけでもない

上記の2つの理由のみで、難易度に差がないことが分かります。長年に精読指導をしていても、「さすが、堀川高校の英語は難しくて、教えるのにも苦労するな」とか「普通科の問題は簡単だから、教えるのが楽だ」などの違いは一度も感じたことがありません。実際に差がないのだから当然です。

イメージで難易度が変わっている

文法利用範囲も単語の難易度も大きく変わらない以上、長文の難易度に差がないことは疑いようのない事実です。しかしそれでも賛同できない人がいるのは、イメージに取り憑かれているからです。数学でも同じで、本当は十分に解ける問題であっても、「この問題はめちゃくちゃ難しいよ」と聞くと構えてしまって本当に難しく感じることもあります。


英語で言えば、「これは難しい高校の過去問だ」と言わずに指導に入ると、意外とすんなり理解してくれることもたくさんありました。


入試でチャレンジする皆様はイメージで考えるのではなく、ぜひ目の前の英文の難易度を冷静に判断してみてください。

長文傾向の違いから見る、合格者の資質

ではどこに差があるのでしょうか?普通科を受験する人であれ、探究やこすもすなど難関を受験する人であれ、英語は満点を狙って受験勉強を行う必要があります。英語入試問題の違いから、自分のやるべきことや意識すべきことを考えておきましょう。

難関校の英文は興味深くて楽しい、普通科の英文はつまらない苦行

最も大きな違いは、英文から溢れ出る知性についてです。まず、堀川高校探究学科群の過去問を少し覗いてみましょう。

”蒸気”という言葉を聞いたときに何を思い浮かべますか?温泉ですか、それとも蒸気機関車ですか?同じ言葉を聞いた時でさえ、私たちが思い浮かべるものにはいくつか違いがあります。千年以上もの間、日本人は簡単な方法で日常的に蒸気を使用してきました。しかし300年以上前、ヨーロッパの発明家は蒸気を熱エネルギーとして利用するアイデアを思いつき、そうして蒸気機関が誕生しました。日本人もその発明の種を知ってはいましたが…

堀川高校 探究学科群 令和5年入試問題

ご覧のように、日本語で書かれてあったとしても興味深い滑り出しであり、一つの文章として勉強になるような、知性のある文章になっています。こういった文章は受験生にとっては英語のみならず、全体的な知識や知見を得るのにとても役立つものです。教えている立場としても、本当は英語の読解だけを教えていれば良いものの、授業に熱が入りやすいでしょう。結果的に、生徒も印象に残りやすく、学習材料としては優秀なのです。


では反対に、中期選抜の問題を読んでみましょう。

ジーナ:まみ、何を見ているの?

まみ:英語の本のリストを見ているのよ。昨日、英語のスミス先生がこれをくれたんだけど。私は先月から英語の本を読み始めたから、よい本を教えてくれるように頼んだの。リスト上のコメントは、それぞれの本に対する彼女のコメントよ。明日買い物に行って、リストにあるいくつかの本を買ってみるわ。

ジーナ:それ見てもいい?Oh, 私はこの本を読むべきだと思うわ。私はまだ読んだことがないんだけど、このコメントを見て。…

京都府公立高校 中期選抜 令和5年度入試問題

一体どうしたのでしょうか。歴史的事実や人文学的な興味深い視点が欠けてしまった、何の価値もない会話が始まってしまいます。「練り込まれたストーリーや特に驚くような結末もない、架空の高校生の会話が延々と書かれた本」を読まなければならないと想像してください。英語関係なく、時間を無駄にしてしまう苦痛を味わうことになるでしょう。中期選抜の英文は、まさにそんなイメージです。

中期選抜がしっかり読めるなら、どこでも問題なく読める

注目しなければならないのは、難関校の英文は知的で内容が濃い文章になっていますが、使われている文法や単語の難易度は中期選抜と何ら変わりがないことです。「この文を理解するには、公立中学校の教科書以上の知識が必要だ」と思われるような文は使われていません。


確かに難しい単語の利用割合がとても多いですが、それはページ下に全て訳が書いてありますし、習った文法知識を注意深く利用できれば、中期選抜と同じ要領で読み進めることができます。真面目に受験対策を続けた人であれば、中期選抜の長文で何度も出てきたような重要単語や重要文法が、そのまま利用されていることに気づくでしょう。


「堀川探究科の過去問の方が明らかに難しいじゃないか」と思われた方には、「そう感じる難易度の差はあくまでも内容の難しさが原因となっているのみで、英語能力としての差に起因するものではない」と答えます。つまり、翻訳するだけなら、冷静になれば難易度は同じ。


いきなり探究レベルの過去問を読んで、その難易度に疲弊している中学生のなんと多いことでしょうか。取り掛かるべきはまずは中期選抜ですよ。

難関校の英語入試に求められる資質は、「英語能力」だけではない

ancient greek temple

同じ能力を持った2人の生徒がいても、1人は難関校の英文もスムーズに読み、もう1人は苦戦する、ということは珍しくありません。その違いは社会の知識やそれに対する知的好奇心にあります。


探究科の英文では最初に蒸気機関についての記述がありますが、これを楽しく読み解いていくには「蒸気というただの水を、エネルギーとして変換できる」「産業革命などの技術革新により、人類の生産性が飛躍的に向上した」などの科学的・歴史的事実に対して面白いと思える好奇心が求められます。その好奇心がなければ、難しい単語を覚えながら読み進めたり、過去問を何年分も読み込んだり、求められるたくさんの努力をこなすための効率が悪くなってしまうからです。


「中期選抜は簡単だけど、難関高校の文章は難しい」と感じるのは、そういった好奇心や考えるクセがまだ少し足りないからです。明らかなハンデにはなりますが、いくらでも修正が効きます。

英語以外の科目の重要性

こう考えると、例えば小学生や中学1年生あたりから高校入試で難関高校を目指す場合、むしろ社会や科学に関して熱心に学んでいくことが結果的に英語学習の効率を高めてくれると思われます。


そして逆に、そういったことにあまり関心のなかった中学生ではなんと、「むしろ難関校の英語の方がつまらない、中期選抜の方が楽しく読める」と言い出すことがあります。これが、難関高校合格者との差になって跳ね返ってきます。彼の英語能力が十分に高かったとしても、科学や社会への関心の高い生徒に勝つことが少し難しくなってしまうことは事実です。


幅広い分野に前向きな気持ちで取り組み、「この勉強の面白い部分はどこか」を積極的に探せるような、そんな教育方針を持たなければならないと痛感します。

それでも中期選抜の英文を読み込まなければならない理由

何の価値もない文章を読まなければならない中期選抜。それでもなお、中期選抜の過去問には価値があります。「純粋な英文読解の基礎を、無駄なく確認できる素材」としてとても優秀な作品になっているからです。

  • 読解の際に求められる文法理解を不足なく活用できるのか
  • 中学生のうちに求められる英単語は確実に頭に入っているのか

こんな観点を持って実力を確認するとき、「内容の知的さ、奥深さ」は排除して何度も構文を読んでいった方が実は効率的です。


各種文法事項であっても、それを解説するときに「蒸気機関の歴史的背景」を説明していては文法が重要事項として教えることができません。「英文読解の技術に関して、上級レベルに達すること」を目標とするのであれば、逆に中期選抜の無味乾燥な文章の方が役立つし、純粋に英語を教えやすいというメリットはあります。

トップ層でさえできていない「精読」

塾生に対して英文読解の理解度チェックを行うと、

  • 成績はほぼオール5
  • 京都府なら最難関高校も高確率で合格できる

こんな塾生ですら、中期選抜の長文を雰囲気で読んでしまっています。中期選抜は、雰囲気で読めても正解できるようなイージーな問題も多いため、「正答率が高いから、もう読まなくて良い」と思って皆中期選抜をおろそかにしてしまいます。


しかし確実に合格するのは、中期選抜の「精読」を深いレベルまで追求して努力した者です。

したがって最適解としては「①早い段階で中期選抜の英語を読み込んでおき、②クリアしたら難関校の過去問を読み始める」ことです。90%以上の受験生が①をぶっ飛ばしているのではないでしょうか。高倉塾生が合格できているのは、この点を徹底しているのも大きな理由だと思います。


もし「難関校を目指しているが、英文読解が難しくて悩んでいる」のであれば、中期選抜の英文を精読することから始めることで、悩みを解決することができるでしょう。ぜひ身近な人から精読解説を受けてください。塾ではいつでもどこでも観られるように動画セットにしました。

普通科中期選抜【平成過去問9年分 英文精読講座セット】についての解説

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