京都で長く個別指導塾を運営していますが…、塾講師のアルバイトをしていると、「これって生徒を叱った方がいいのかな?」と一瞬考えてしまうこともあるかもしれません。
簡単なものでは遅刻・宿題忘れ・居眠りが圧倒的に多い出来事です。改善してもらわないと成績アップにつながらないので、塾講師としては「これはしっかりと叱った方がいいのか?」という疑問が湧いてくることも当然。
実際に個別指導塾というのは、「勉強の習慣がついています!」という生徒より、「勉強はキライで、やる気もあんまり出ない…」という生徒の方が多くなるため、こういった疑問が湧いてくる機会は多くなるもの。
今回は「個別指導塾のアルバイト講師、生徒を叱るべきか??」という問題について、私の意見や高倉塾で浸透している考え方をご紹介したいと思います。塾講師のアルバイトをしたいと思っている方や、どんな教え方をしているか気になる保護者の皆様は、是非参考にしてください。
目次
生徒は叱らないこと
まず初めに結論になってしまいますが…、個別指導塾の講師は、生徒を叱ってはいけません。
「いやいや、そうは言っても叱らないとダメなときもあるでしょう!」と言う人もいるかもしれませんが、そこはブレーキを効かせないとダメだと思っています。いろんな生徒がいますから、ちゃんと勉強してなかったり、いい加減な態度を取っていたらイライラすることもあるかもしれません。それでも、深呼吸して生徒と向きあいましょう。
生徒は叱られ慣れている
まずひとつ目に…、生徒は基本的に、常に叱られたり呆れられたりしています。塾で宿題を全然やって来ないとか、いい加減な態度を取る生徒なので、家庭や学校でも同じく大人にいろいろと言われているはず。
そんな生徒の姿勢をかえないといけないのですが…、家庭・学校に次ぐ第三の場所である塾でさえ同じアプローチで叱っても、あんまり効果がないんですよね。叱って治るのならば、たぶん家庭か学校ですでに治っているはず。
叱る目的は、「生徒の行動を変えること」にあるので、叱っても治らないなら他のアプローチで生徒の行動を変えようとするのが、教育業界でアルバイトする人の考え方としてふさわしいですよね。
中高生に叱ったら逆効果が多い
あとひとつ、中高生って本当に叱ったら逆効果ですよ。逆効果になる反応として2パターンあって、「宿題やってこないとダメでしょう!!」とか言うと「こっちも疲れてるんだよ。この先生はうるさい。言うことは聞かない」という反発タイプと、「ああ怒られた。やっぱり私はダメなんだ。勉強できないんだ」と考える自信喪失タイプです。
どっちもますます宿題やってこなくなるし、やってきてもスゴくテキトーな感じのが提出されることが多くなります。やっぱり勉強は何でも「やるぞ!」という前向きな気持ちがなければ効果が出ないので、これではちょっと問題アリだと思っています。
実感としては「ああ、また怒られちゃった…」という自信喪失タイプの生徒が多い印象です。以下のブログのように、生徒にまずは前向きな気持ちとか自信を持ってもらわないといけないのに、逆効果ですよね。
(参考:個別指導塾の講師に求められるものは?個別指導塾は、「分かりやすい解説」でなく「やる気を引き出す」塾が理想だな…と思う話。)
叱るのは楽すぎて、講師が何も考えないようになる
あと、悪いことしてきた→叱る、ということを繰り返していると、叱っている講師自身、何も考えない人間になってしまう気がしています。
中高生なんだから叱るべき時って数え切れないほどあるわけですが、講師ならばそれへの対応にしっかり頭を使わなければいけません。しかし…、叱ってしまうとメチャクチャ楽ですよね。叱るときは何も考える必要がありません。「次からはちゃんとやってきなさい」みたいなことを言って終わればOK。
でも本当は、「どうやったら次はしっかりできるかな??」ということを考え、生徒に接しないといけません。自分の感情を一旦全部おさえて、どうするのがベストか冷静に考えて、その通り行動することが求められます。
叱るということが習慣化してしまうと、それを考えない人間になってしまいます。
原因を探るには話し合いが必要
「なんで宿題やってこれないのか」とか、「なんで遅刻するのか」とかは、本人にすら分かってない原因があります。なのでそれをしっかりと探って、解決して成績を上げるのが塾講師の仕事。
そのためには…、結構しっかりと生徒と話し合いをしないといけません。生徒としっかり話し合いをするには…、言うまでもなく強い信頼関係が必要です。親にも話さないことを、塾の先生には話せる…くらいの関係が必要です。だから、年の近い大学生のお兄さんお姉さんが先生になる個別指導塾は、とても生徒にとって嬉しい存在なわけです。
そんな中で、何度も叱ったりしちゃうと、生徒が先生と少し距離をとってしまいます。「ヤバイ、怒られるかも」という理由で本音を隠したりするようになります。そうなると、原因を探って解決するのは難しくなってしまいますよね。
という理由からも、なるべく叱らないで済む方法を考えたほうがよさそうです。
太陽を意識しよう
イソップ物語の『北風と太陽』では、旅人の服を脱がす対決で、北風はムリヤリに服を脱がそうとして失敗、太陽はポカポカ温かくして旅人自身に服を脱がせた…という話になってますよね。
それと同じで、やっぱり先生という職業や、塾講師というアルバイトでも太陽を意識しないと…と思っています。成績を上げるにはやっぱり「自分の意思で頑張る」と思ってもらわないといけませんから、北風のような方法ではどの道成果が限られてしまいます。
信頼関係を作ることから!
まぁ…、「やるべきことをやってこない」とか怒りたくなるような状況も多いのですが、何とか話し合いからスタートして、いつも努力していることを認めたり、素晴らしい点を伝えたり…など根気よく話すことで、「頑張りたい!」という気持ちを燃やしてもらえれば最高ですね。
そういう話を繰り返していると、自然と「ああ、この先生はしっかりと自分を理解しようとしてくれている」と考えるようになります。時間はかかりますが、ここまで信頼関係ができてくると、きっと「宿題はしっかりやってくること!」とか「遅刻はダメだよ。次からは約束ね」など言うだけで生徒の行動を変えることができます。
塾講師のアルバイトをするということは、「何とか生徒のためになりたい!」という気持ちを持っているはず。それを実現するには、「どうやって生徒の行動を変える事ができるかな?」ということを常に考える努力が求められますよね。
…ということで、「今から塾講師のアルバイトがしたい」とか「今も塾講師のアルバイトしてるけど、どうやって生徒に接するべきかな…」と考えている方に参考にしてほしいブログを終わります。
他、以下のブログも参考にしてくださいね。