京都府の公立高校に合格を目指す中学生は、何より以下のポイントをいち早く理解しておかねばなりません。
高校入試には、中1からの成績がおおいに響く。入試日のみに高得点を取っても、合格の望みは薄い。
高校入試はすでに、中1の定期テストから始まっているのである。
上記の意味を知っておくのみで、京都府の高校入試に対して大きなアドバンテージを得ることができます。
以下より、具体的な入試制度を解説します。このページで詳細は全て把握できるので、繰り返し読んで理解してください。
京都府の公立高校に合格するチャンスは、大きく分けて3回です。
- 前期選抜 (2月16日ごろ)
- 中期選抜 (3月8日ごろ)
- 後期選抜 (3月24日ごろ)
毎年、以下のようなスケジュールで行われます。具体的日時は令和4年度のものですが、毎年大きく変わることはありません。
前期 | 中期 | 後期 | |
---|---|---|---|
特徴 | 不合格が前提 | 多くの合格者が出る | 定員が余った高校のみ |
受験日 | 2/16頃 | 3/8頃 | 3/24頃 |
合格発表 | 2/24頃 | 3/17頃 | 3/28頃 |
これらの3つは、合格率や志望コースの面で明確な違いがあります。
毎年2月10日ごろに私立高校入試がありますが、そのすぐ後の2月16日ごろに前期選抜が控えています。公立受験一発目の前期選抜は、私立高校の合否に一喜一憂する暇もなく行われるのが特徴です。
前期選抜において念頭におくべき事実があります。
- 普通科を受ける生徒にとっては、ほぼ不合格が前提の試験であること
公立高校の普通科の受験においては、前期選抜では定員の30%しか合格者を出しません。

京都府の公立普通科を志望する生徒のほぼ100%は前期選抜も受験します。したがって「受験者の70%が不合格となる試験であり、合格する方がレアケースである」といった認識が不可欠です。闇雲に前期合格を目指していては、一貫した受験戦略を取ることが難しくなるからです。
以下は令和4年度の前期選抜の倍率です。

通常の受験型であるA方式(1型)などでは、倍率が3~5倍となることが珍しくありません。前期での合格はとても難しいといえます。
前期で募集人数の30%を合格させないので、高い倍率になるのは当然です。そして残りの70%は中期選抜で合格者を出すため、中期では倍率が1~2倍にまでグッと下がります。
したがって普通科入試は中期選抜が本番だと考えて問題ありません。前期選抜は不合格を前提に心の準備を整え、中期選抜のためのよいリハーサルとして位置づけることがセオリーです。実力相応校でも合格できないのが普通です。
前期選抜の普通科の入試要項を、人気の高い山城高校を例に説明します。

上図のように、前期選抜は以下の3つにより合格者を決定します。
- 学力検査
- 報告書
- 面接
こちらの表のように、315満点で上位から合格していくイメージです。
国語 | 数学 | 英語 | 報告書 | 面接 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
50 | 50 | 50 | 135 | 30 | 315 |
前期選抜の「学力検査」

学力検査とは、中3の2月16日ごろに行われる、国数英の入試得点のこと。
3教科で各50点満点の合計150点満点であり、全ての高校の普通科で全く同じ問題に取り組みます。
国語 | 数学 | 英語 | 合計 |
---|---|---|---|
50 | 50 | 50 | 150 |
前期選抜の「報告書」
大きなウエイトを持つ報告書とは、学校の成績のこと。9教科それぞれに5段階評価がつきますが、全てが普通の「3」だとすると、9教科合計で27ということになります。
Aさんの3年間の成績が、以下のようなものだと仮定しましょう。
評定 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 国語 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年1学期 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 29 |
1年2学期 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 31 |
1年学年末 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 3 | 34 |
2年1学期 | 3 | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 3 | 32 |
2年2学期 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 4 | 4 | 3 | 3 | 31 |
2年学年末 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 4 | 4 | 3 | 3 | 31 |
3年1学期 | 5 | 4 | 3 | 3 | 4 | 3 | 3 | 4 | 3 | 32 |
3年12月末 (2学期) | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 35 |
3年学年末 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 35 |
「報告書」では、このAさんの学年末(3年は12月末)の成績を3学年分合計し、足し合わせた数字を利用します。
Aさんの「報告書」の点数は100となります。全てが「5」である最高の成績ならば、「報告書」は満点の135点です。
評定 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 国語 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年学年末 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 3 | 34 |
2年学年末 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 4 | 4 | 3 | 3 | 31 |
3年12月末 (2学期) | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 35 |
報告書 | 100 |
1年生や2年生の学校成績(評定)も、入試のための立派な得点源になっていることが分かります。
前期選抜の「面接」
前期選抜の普通科面接では、集団面接が行われます。時間と内容は、どの高校もほぼ同じと考えて問題ありません。

- 中学校時代にがんばったこと
- その高校に行きたいと思った理由
- その高校で学びたいこと
などなど、予想される質問に少し答えるのみ。複数人で10分間程度なので、最低限の振る舞いを意識し、無難な答えができれば何の問題もありません。
30点で採点されますが、こちらの基準や点数は開示されません。ただ、あまりここで大きな差が開くことはないので、落ち着いて対処すれば十分です。気の利いたことを言う必要もありません。

- 「学力検査」で5割
- 「報告書」で100点
- 「面接」で20点
例えば上記のような点数を取っていれば、前期選抜の合計得点は195点です。
国語 | 数学 | 英語 | 報告書 | 面接 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
25/50 | 25/50 | 25/50 | 100/135 | 20/30 | 195/315 |
受験者の中から、この点数の上位から合格していくこととなります。公立高校を志望する生徒は前期もほぼ全員受験するものの、普通科は定員の30%しか合格枠がないため、合格は簡単ではありません。
前期選抜における、大まかな選抜システムは以上です。
「報告書」は全体の315点満点のうち、135点を占めます。その割合は約43%。前期選抜も、半分近くは学校の成績で決まっていることが分かります。

前期選抜の入試日から約3週間後、3月8日ごろに中期選抜が行われます。
前期 | 中期 | 後期 | |
---|---|---|---|
特徴 | 不合格が前提 | 多くの合格者が出る | 定員が余った高校のみ |
受験日 | 2/16頃 | 3/8頃 | 3/24頃 |
合格発表 | 2/24頃 | 3/17頃 | 3/28頃 |
前期選抜において、普通科合格者を30%出しました。残りの70%は中期選抜で合格させます。つまり、ほとんどの普通科合格者は、中期選抜での合格者です。

倍率を見ても「合格のしやすさ」は顕著であり、前期選抜のように3~5倍に高騰することはありません。

普通科を志望する生徒は、「前期選抜は素晴らしいリハーサルであり、自分の本番はあくまでも中期選抜である」と考えて問題ありません。前期選抜の不合格ショックをひきずるなど、百害あって一利なしだからです。
中期選抜は、「報告書」と「学力検査」の2つで合格者を決定します。

上図のように、中期選抜では2つの要素で合格判定を行います。前期選抜にはあった面接はありません。
- 学力検査
- 報告書
基本的には以下のように、395点満点で上位から合格していくことになります。
国語 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 報告書 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 195 | 395 |
中期選抜の「学力検査」

中期選抜の学力検査は、3月8日ごろに実施されます。
前期とは異なり、理科と社会も加わった5教科全ての試験です。40点満点の5教科受験で、合計が200点満点。特に普通科の理科と社会は対策すればしっかり点数が取れるので、頑張る人にはより多くのチャンスが広がっています。
国語 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 200 |
中期選抜の試験では、全ての公立高校が同じ問題を解きます。中期の問題は基本的なものばかりなので、教科書レベルの問題だけで高得点が狙えます。
中期選抜の「報告書」
前期と同じく、報告書とは学校の成績のこと。9教科それぞれに5段階評価がつきますが、全てが普通の「3」だとすると、9教科合計で27ということになります。
中期選抜の特徴は、副教科の成績が2倍されてカウントされることです。
Aさんの1年学年末の成績が、以下のようなものだと仮定しましょう。
評定 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 国語 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年学年末 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 3 | 34 |
このまま考えれば合計が34ですが、副教科の数字を2倍してみましょう。
評定 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 国語 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年学年末 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 48 |
副教科の成績を2倍すると、合計が48となりました。中期選抜では、この数字を報告書として利用します。
前期選抜では、Aさんの「報告書」の点数は100点でした。しかし中期選抜では副教科が2倍で評価されるため、Aさんの「報告書」の点数は142点です。
評定 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 国語 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技家 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年学年末 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 48 |
2年学年末 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 4×2 = 8 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 3×2 = 6 | 45 |
3年学年末 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3×2 = 6 | 4×2 = 8 | 4×2 = 8 | 3×2 = 6 | 49 |
報告書 | 142 |
1年生や2年生の学校成績(評定)も、入試のための立派な得点源になっていることが分かります。
- 「学力検査」で5割
- 「報告書」で142点
例えば上記のような点数を取っていれば、中期選抜の合計得点は242点です。
国語 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 報告書 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
20/40 | 20/40 | 20/40 | 20/40 | 20/40 | 142/195 | 242/395 |
基本的には受験者の中から、この点数の上位から合格していくこととなります。前期選抜で残した70%の枠が全て埋まるため倍率も低く、とにかくここで合格できるかどうか、に全てがかかっています。
395点満点のうち、報告書は195点満点。全体の49%を占めます。

ほとんどの生徒は、中期選抜が最後の入試です。しかしその後、3月24日ごろに後期選抜が行われます。
前期 | 中期 | 後期 | |
---|---|---|---|
特徴 | 不合格が前提 | 多くの合格者が出る | 定員が余った高校のみ |
受験日 | 2/16頃 | 3/8頃 | 3/24頃 |
合格発表 | 2/24頃 | 3/17頃 | 3/28頃 |
後期選抜は「中期選抜が終了してもなお、定員に余りのある高校」のみ実施されます。
令和4年度入試において、後期選抜を実施した高校は以下(後期選抜について)。
- 東陵高校 普通科(10名以内の募集)
- 洛水高校 普通科(10名以内の募集)
- 京都すばる 起業創造科(10名以内の募集)
※上記の他、定時制の募集もあります。
報告書、国数英の3教科試験、面接の3つから総合的に判断されます。
令和4年度においては、上記の高校受験者はいずれも5名ほどで、全員合格になっています。後期選抜にもつれた場合、合格率は極めて高いといえます。

前期選抜と中期選抜、それぞれの「報告書(学校成績)」のウェイトの大きさにもう一度注目してください。

「高校受験」と聞くと、当日の入試ばかり思い浮かんでしまいますが、京都府の場合は「報告書」が同じ割合を占めており、「当日入試よりも前に、勝負は50%決まっている」という強い認識が必要です。
上記の円グラフを、学年ごとの評定で分けた円グラフも作りました。

1年生の成績からすでに、高校入試の14~16%の得点を占めていることが分かります。もう一度書きますが、1年生の成績から、既に高校入試の15%が決まってしまうのです。ここを取りこぼすと、二度と挽回できません。
毎年当たり前のように、「今の成績では、学力検査で逆転は無理なので諦めてください」と言われて志望校の選択肢を失っている生徒がたくさんいます。
高校入試には、中1からの成績がおおいに響く。入試日のみに高得点を取っても、合格の望みは薄い。
高校入試はすでに、中1の定期テストから始まっているのである。
こんにちわ。今、中1の子供が学力低く、オール1に近い2です。家庭事情で私学は無理です。公立高校後期で不合格になったらどうしたら良いんですか?
こんにちは。返信遅くなり失礼いたしました。
もし公立の後期でも不合格になれば、私立に行くしかない、ということになります。したがって、合格できる私立を確保しておいて、なんとか倍率や合格ラインが低い公立高校を受けて頑張る、ということになります。
後期にまでもつれる公立高校では、定員が結局割れてしまうこともあるので、最後まで希望を持って諦めないことが大事になってきます。そのために、今からしっかり学校に行って、なんとか全教科において最低でも2を取ることは大事になってきます。
今は中1とのことですし、なんとか2が取れるように目標を持って頑張って欲しいです!そうすると、道は少しずつ広がってきます。前向きに頑張って欲しいです!
静岡大学教育学部附属浜松中学2年男子です。父親を亡くして母方の京都に帰り受験予定です。
全く変わっていて、わからないのてわすが、相談に乗っていただけますでしょうか?
こんにちは!
もしご希望でしたらメールや対面でご相談させていただけます。
以下よりご連絡ください〜!
https://takakurajuku.jp/contactandaccess
鳥羽高校 グローバル科の偏差値は どのくらいですか?
3年3学期の成績も 中期試験に内申として入りますか?
こんにちは。
偏差値も業者によりいろいろであったりしますが、鳥羽高校のグローバル科は大体55あたり、という印象でOKだと思います。
例えばオール4以上が安定的に取れるようなら、対策すれば合格率はかなり高いと思います。
3学期の成績はつまり学年末の成績ですね。中期選抜はもろに内申点に入りますよ。
乙訓地域に住んでる受験です。
学校の三者面談では中期選抜の内申点は学年末は反映されないといっていたのですがそれは地域によって違うのですか?
こんにちは。
中期選抜の内申点は学年末の評定は反映されます。地域による差はありません。
ただ、厳密には「2月時点」での成績と定められています(2月10日時点とかだった気がします)。少なくとも、2学期(12月末時点)の評定ではありません。それは前期。
公立中学校では、中3は定期テストを早めて1月に行い、それを考慮した成績を出すのが普通ですので、通常はこの2月時点の成績がほぼ学年末の成績とイコールになります。
三者面談では、この微妙なニュアンスの違いで「学年末は入らない」と仰ったのか、もしくは単純に前期と間違えたのか、ですね。