京都府の公立高校の入試制度、初めての方には少しややこしいかもしれません。
大学受験なら全国共通で、特別に京都で意識することはないのですが、高校受験は47都道府県でバラバラの制度です。
京都の個別指導塾である高倉塾として、今回は分かりやすく京都府の公立高校の入試制度を解説します。
この記事さえ読めば、全てが分かるように書きました。
早く知れば知るほど、「学校の成績をがんばらないと!」ということが分かるはずです。
公立高校入試は3回行われる
京都府の公立高校入試は、大きく分けて3回行われます。
- 前期選抜(2月中旬)
- 中期選抜(3月上旬)
- 後期選抜(3月下旬)
の3回です。この3回で、あなたの公立高校受験が決まります。
このうち、後期選抜は考えなくてもOKです。なぜなら、高校は前期と中期の2回で、全ての定員を募集するからです。
「定員割れが続き、最後まで枠が余ってしまった」というレアな場合のみ、後期選抜が行われます。
例えば2018年度入試では、後期選抜までもつれこんだのは定時制コースのみです。
前期選抜(2月中旬)
前期選抜は、例年2月中旬に行われます。2月16日が多いですね。
毎年私立高校は2月10日に行われ、そこから数日後に前期選抜が行われるイメージです。
この前期選抜は、「専門学科」と「普通科」に分けて説明しなければなりません。
専門学科
特に2月中旬の前期選抜で最も大切なのは、この「専門学科」の入試です。
京都の公立高校には、普通科よりも学力を求め、特色を持った教育を実施する専門学科を持っている高校があります。
京都府で、専門学科を持っている高校を挙げますと…、(京都市・乙訓地域のみ)
- 山城高校 文理総合科
- 鳥羽高校 グローバル科
- 嵯峨野高校 京都こすもす科
- 桃山高校 自然科学科
- 乙訓高校 スポーツ専攻科学
- 西京高校 エンタープライジング科
- 京都工学院高校 フロンティア理数科
- 堀川高校 探求学科群
- 紫野高校 アカデミア科
- 塔南高校 教育みらい科
です。普通科よりも学力が求められるコースです。
上記の専門学科は、前期選抜のみで全ての合格者を決定させます。中期選抜は行いません。
基本的には以下で認識してください。
- 専門学科…前期選抜の1回で合格者全てを決定。
- 普通科…前期選抜と中期選抜、後期選抜の3回で合格者全てを決定。
ちょっとだけ例を出して、見てみましょう。
上記は専門学科の一つである、山城高校の文理総合科の募集要項の抜粋。もちろん、前期選抜で全てを決める、学力を求められるコースです。
一番下の「配点」欄に注目すると、学力検査のところ、◎マークがついてます。◎マークは、「試験問題は、高校が独自で作るよ」という印です。
普通、公立高校の試験問題は、どの高校でも全く同じです。最難関校であろうが、人気のない高校であろうが、全く同じ問題を解きます。
ただ、それは普通科の話。
高い学力を求める専門学科の場合は、「悪いけど、ウチの高校で難しい試験問題を独自に作るからね」ということが許されています。
山城高校の文理総合科は、5教科で400点満点(1教科80点)のテストを作っているということになります。
次に、その隣の「報告書」欄を見てみましょう。100点と書かれています。これは、内申点の合計のことです。
普段の中学校の成績が点数化されるわけです。
「報告書」つまり内申点の計算方法は、以下の通りです。
5段階評価、9教科の合計を算出します。例えばオール3なら3×9=27となります。
その数字を、
- 1年学年末
- 2年学年末
- 3年2学期
この3つの成績で合計します。
全部オール3だった場合、27が3年間分で、27×3=81点になりますね。
全部オール4だった場合は、36が3年間分で、36×3=108点となります。
その数字に、135分の100(100/135)をかけて圧縮します。135分の100は約0.74なので、計算した数字に0.74をかけるわけです。
全部オール3だった人は、81×0.74で、約60点です。
全部オール4だったら、36×0.74で、約80点です。
自分のだいたいの点数を計算してみてください。
山城高校の文理総合科の場合、
- 400点満点の試験の点数
- 報告書(内申点)の点数
- 面接(25点満点)
の合計点で、上から合格者が埋まっていくということです。
山城 文理総合科 | 満点 |
試験の点数 | 400 |
報告書(内申点) | 100 |
面接 | 25 |
合計 | 525 |
こちらはあくまでも山城高校の文理総合科の例。
専門学科の配点は高校によって変わっていますので、以下で実施要項をご確認ください。
普通科
特に「専門学科に行きたい!」という希望がなければ、公立高校は普通科に進むこととなりますね。
この普通科の、前期選抜を詳しく見ていきましょう。
こちらは一例として山城高校の普通科の実施要項。普通科はどの高校もほぼ同じです。
入試で行う学力検査は、国数英の3教科で、社会と理科はありません。
各50点の、150点満点。
そして、普通科の「報告書」は、135点満点と書かれています。
こちらの計算方法は以下です。
普通科の報告書(内申点)点数は、単純に9教科成績の、3年分の合計です。
- 1年学年末
- 2年学年末
- 3年2学期
この3つの9教科合計成績を、単純に合計しましょう。
例えばずっとオール3だった人は、27×3=81点です。
ずっとオール4だった人は、36×3=108点です。
普通科の場合、いちいち0.74をかけなくてOK。そのままの数字が報告書点数です。
そして、山城高校の場合は面接が30点満点。
全て足しあわせて、上の人から合格していきます。
山城 普通科 | 満点 |
試験の点数 | 150 |
報告書(内申点) | 135 |
面接 | 30 |
合計 | 315 |
普通科は、どの高校もほぼ同じです。
しかし高校によっては、
- 面接の配点が違う
- 面接でなく、作文を行う
- 面接に加え、課外活動も評価する
など、カラーが違います。以下で志望校の制度を確認してください。
しかし「試験の点数」と「報告書」は全高校で同じなので、特に大きな差は出ません。
山城高校や嵯峨野高校、堀川高校などのように専門学科を持っている高校は、前期選抜で
- 普通科
- 専門学科
の両方の試験を実施することになります。個人的には、専門学科を受けるチャンスは前期だけなので、チャレンジしたいなら専門学科を受けることをオススメします。
前期選抜で合格すれば、2月の中旬には受験勉強から解放されることになります。
しかし普通科の場合、前期では定員の30%しか合格者を出しません。
公立高校が第一志望の生徒は、当たり前ですが前期選抜は必ず受験します。
全員受験するのに、各高校とも定員の30%しか合格者を出さないのです。
この、「普通科で大量に不合格者が出る」というのが、前期選抜の特徴です。
残りの70%は、中期選抜で合格者を出します。
こんな事情もあり、公立高校の普通科が第一志望の生徒は、「前期選抜は落ちて当然。中期選抜が、本番」くらいの気持ちでいることが大切になってきます。
前期選抜の普通科は、実力相応校でも合格できません。ある程度は余裕で合格する高校を受験した場合のみ、合格できます。
以下の記事を読んでみてください。前期選抜への心構えが分かります。

また、前期選抜は非常にややこしくて困るのですが、普通科の場合、
- 通常の受験方式(A1)
- 部活や課外活動を高く評価してもらえる方式(A2,B等)
に受験タイプが分かれています。
特に、部活や生徒会などの課外活動で何か特筆すべき成績を修めている人は、以下のブログを要チェックしてください。
前期の合格率が格段に高まります。

中期選抜(3月上旬)
前期選抜がややこしくて長々と書いてしまいましたが、中期選抜はカンタン!!
中期選抜は前期よりも分かりやすいシステムです。
試験 | 200点満点 |
報告書 | 195点満点 |
合計 | 395点満点 |
学力検査は、国数英理社の5教科。
中期選抜は、ほとんど普通科だけの試験です。
各40点満点の、200点満点。
数 | 英 | 理 | 社 | 国 | 合計 |
40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 200 |
普通科の前期選抜は、国数英の3教科でしたが、中期選抜は5教科キッチリあります。
次の報告書は、内申点ですね。
中期の報告書(内申点)は、
- 1年学年末
- 2年学年末
- 3年学年末
の3つの合計で決定します。
ここだけちょっとややこしいのですが、中期選抜の場合、副教科の点数を倍にして計算します。
例えばオール3の場合…
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 27 |
3×9で、合計が27ですよね。
ここで、副教科の評定を倍にしてみましょう。
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 6 |
3 6 |
3 6 |
3 6 |
39 |
3が2倍の6となり、これを全て足すと、合計は39になります。
中期選抜の報告書は、こうやって計算します。
3年間、全部が3だったら、39×3の合計117が最終的な内申点、報告書の点数です。オール5だったら、3年間で合計が満点の195になるので、確かめてみてください。
本番の試験で200点満点、報告書の195点満点で、合計395点満点で、上から定員まで機械的に合格します。
(本当は最後にちょっとややこしい判定方法をしますが、合計点で上から合格すると思って問題ないです。)
- 試験点数…200点
- 報告書(内申点)…195点
と考えると、内申点の比率がめちゃくちゃ高いことに気づくはずです。
公立高校の普通科は、1~3年の中学校の成績で、試験を受ける前に半分は勝負がついていますよ、という意識を持ちましょう。
中学校の成績をサボっていたら、いくら受験勉強で死ぬ気になっても志望校は受かりません。
ここで一つのからくりですが、
例えばオール4で、4×9で合計36の生徒がいたとします。
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 36 |
この生徒は、副教科を2倍して計算すると、
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 8 |
4 8 |
4 8 |
4 8 |
52 |
合計が52点になりますね。
これを3年間の各学年末、ずっと同じだとすると合計52×3の、156点。ずっとオール5の満点が195点なので、156点はなかなかの点数です。
ここでもう一人、合計が36だけど、以下のような評定の生徒がいた場合。
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
3 | 3 | 3 | 3 | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 36 |
合計は36で同じなのですが、副教科を2倍すると…
国 | 数 | 英 | 理 | 社 | 音 | 体 | 美 | 技 家 |
計 |
3 | 3 | 3 | 3 | 4 | 5 10 |
5 10 |
5 10 |
5 10 |
56 |
合計点が、56点。
3年間の学年末で、同じ評定なら、報告書点数は56×3で、168点。
同じ「合計が36」の生徒でも、156点と168点と、12点も変わるんですよね。
12点違ったら、合格と不合格が明確に分かれるラインです。
なので、中期選抜は副教科が強い生徒がけっこう有利になりますよ。
「でも、副教科が強い人は、本番の5教科の試験で点がとれないのでは…??」
という疑問も湧くところですが、ハッキリ言って、中期選抜はそんなに難しい問題が出ません。なので「3」がしっかり取れているのなら、塾で思いっきり対策したら高得点が取れます。
つまり…、本番の入試では、あんまり差が出ないんですよね。
なので、「公立高校の普通科に行きたい!!」と願っている生徒は、いかに普段の評定、特に副教科を頑張って成績を上げていくかが大切ですよ!!
副教科を普段サボっている人は、入試を半分捨てているのと同じですね。
「実際、どれくらいの点数/内申点があれば志望校に合格できるのか」については、以下のブログで数校ピックアップして分析しています。
ぜひお読みください。

後期選抜
これはあんまり解説する必要はないかも。
前期、中期と募集しても定員が余ってしまった高校のみ、3月下旬に後期選抜を行います。
全日制で後期選抜までもつれることはとても少ない例です。
定時制などは特に、後期選抜で何人か合格することが多い印象です。
公立高校合格のための考え方
長々と説明したので、ここからは余裕のある方のみお読みください。
- 専門学科
- 普通科
を含めた、合格のための考え方を書いていきます。
専門学科
専門学科は、高い学力を求められるため、独自の試験問題を作って、受験生をテストしてきます。
なので、あんまり学校の成績は気にしません。
もう一度、山城高校の文理総合科を例に出しますが…、
この「報告書」が100点になっていることについて。
「報告書」は学校成績、内申点のことなので、9教科オール5で45、3年間あわせて45×3で135点満点のはず。
しかし専門学科の場合は、「独自の試験がどれだけ解けるのか??」の方を重視するため、内申点を100点まで圧縮して、内申点の比率、重要性を下げているわけですね。
もちろん、副教科を2倍なんかしません。
つまり、学校の成績より、「志望コースの過去問の傾向をしっかり把握し、トレーニングしたかどうか」の方が大切になってきます。
もし「難関の専門学科に合格したい!」という気持ちを持っているなら、過去問演習を必死でやりましょう。
とは言っても、山城の文理総合科を始めとして、
- 堀川高校探究科
- 嵯峨野高校こすもす科
- 西京高校エンタープライジング科
などの最難関校でも、基本は学校の成績を高めることに集中しましょう。それが、合格率を高める最短の方法です。
本格的な過去問や難問対策は、夏休み以降です。
高倉塾での、難関校対策の計画は以下を参考にしてください。

普通科
公立高校の普通科を志望するなら、1番大切なのは「本番は3月上旬の中期選抜」と強く意識することが必要です。
前期選抜もあるのですが、前述の通り、定員の30%しか合格しないオマケのような試験。
- 前期選抜…おまけ
- 中期選抜…本番
という気持ちを持ち続けることが必要です。そうでなければ、前期選抜の不合格がショックになって中期選抜に差し支えるからです。
加えて、前期選抜では社会と理科はありませんが、逆に中期選抜は社会と理科が得点源です。前期選抜の対策で必死になりすぎて、中期の理科と社会をおろそかにすることがないようにしましょう。
高倉塾での、通常の受験対策のスケジュールは以下のブログに詳しく書いています。

「公立高校の普通科が第一志望」という人は特によく読んでください。
また、公立高校の中期選抜は特に、倍率が重要な要素です。数年分の全高校の倍率や注意事項をまとめていますので、ぜひ御覧ください。

正しく京都の受験を知って、志望校合格を目指しましょう。
鳥羽高校 グローバル科の偏差値は どのくらいですか?
3年3学期の成績も 中期試験に内申として入りますか?
こんにちは。
偏差値も業者によりいろいろであったりしますが、鳥羽高校のグローバル科は大体60ちょっと、という印象でOKだと思います。
例えばオール4以上が安定的に取れるようなら、あとは対策すれば合格率は高いと思います。
3学期の成績はつまり学年末の成績ですね。中期選抜はもろに内申点に入りますよ。
静岡大学教育学部附属浜松中学2年男子です。父親を亡くして母方の京都に帰り受験予定です。
全く変わっていて、わからないのてわすが、相談に乗っていただけますでしょうか?
こんにちは!
もしご希望でしたらメールや対面でご相談させていただけます。
以下よりご連絡ください〜!
https://takakurajuku.jp/contactandaccess