Bakkai, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
京都の公立高校の中では最も歴史もあり、素晴らしい進学実績を持つ洛北高校。現在もなお、京都市に住む成績優秀な生徒の志望校として強い存在感を放っています。
洛北高校は、以下のような特徴があります。
- 高い進学実績
- 活発な部活動
- 中高一貫クラスからの刺激
「部活を含めて文武両道を頑張りたい」といった生徒から、「勉強に力を入れ、難関大学に合格したい」といった生徒まで、あらゆるニーズに応えることができる数少ない高校であり、高倉塾でも志望者が絶えません。公立高校への進学を希望する生徒からの人気は非常に強いです。
そういった背景から、塾内ではある程度のデータが蓄積しています。このページでは、その経験を活かし、洛北高校への受験を志す生徒のために必要な情報を提供します。

受験勉強に対してモチベーションがあり、ぜひとも高いレベルを目指したい生徒には洛北高校はお勧めできる選択です。
ここからは洛北高校の基本情報を受験に関するものを中心に、考察を添えてお伝えします。
賀茂川と高野川に挟まれた「下鴨」地域に位置します。目の前にバス停もあり、地下鉄は北山や北大路から徒歩10~15分で到着します。
京都市内でも通いやすい立地にあり、京都市在住であれば、多くの生徒は問題なく通学できるはずです。
詳しい位置や交通手段はアクセスより確認してください。
洛北高校には大きく分けて、以下の3つのコースがあります。
- 普通科 文理コース(1学年定員160名)
- 普通科 スポーツ総合専攻(1学年定員40名)
- サイエンス科(1学年定員80名)
このうち、2は部活動がメインのコースであり、3は完全な中高一貫コースで高校から入学することはできません。
したがって、このページでは 1. 普通科 文理コース の説明にフォーカスします。
文理コースの進学実績をグラフと表にまとめます。

卒業年度 | 国公立 | 私立 | 短大 | 専門学校 | 就職等 | 進学準備 |
---|---|---|---|---|---|---|
2016年度 (157名) | 25% | 43% | 0% | 1% | 1% | 31% |
2017年度 (160名) | 27% | 50% | 1% | 3% | 3% | 16% |
2018年度 (156名) | 30% | 45% | 0% | 2% | 2% | 21% |
2019年度 (158名) | 22% | 51% | 0% | 3% | 1% | 23% |
2020年度 (156名) | 31% | 49% | 1% | 2% | 0% | 16% |
2021年度 (154名) | 31% | 55% | 0% | 1% | 1% | 12% |
文理コースの進路実績における着目点は何より、3割近くの生徒が国公立大学へ進学している点です。
- 公立高校の普通科である
- 入学時に求められる学力がそこまで高くない
上記の2点を踏まえれば、3割の国公立進学率は群を抜いた数字です。私立大の合格者においても、関関同立などに多くの合格者を出しています。
「中学校の成績でオール4(9教科合計で36)程度の成績が取れていなかった生徒でも合格の可能性があり、なおかつ入学後の努力次第で国公立大学への進学率も悪くない」
こういった高校は貴重な選択肢になるはずです。

高校から勉強して受験する場合、普通科の文理コースに進むことになります。
ここからは文理コースの受験情報について解説しますが、以下の公立高校(普通科)の入試制度を理解した上でお読みいただくと、一層スムーズに理解できます。

求められる学力としては、以下の数字を文理コースに合格するための目安として考えてください。
- 模試の偏差値は57程度
- 学校評定は9教科合計32以上を3年間
上記2点は、中期選抜における最低限の合格目安です。模擬試験は、五木京都模試もしくは大阪進研Vもし等を基準とした数字です。真ん中の学力では偏差値は50なので、つまり平均的な学力では合格できません。
学校評定も、合格を目指せる範囲としては9教科32あたりが下限といったところです。もちろん27程度でも合格者は存在しますが、中期選抜では「報告書」が半分を占めているため、「学力検査」で大きく挽回する必要があります。
9教科で32に遠く及ばない生徒は、人よりも入試対策に時間を取り、当日の「学力検査」で高得点を狙わねばなりません。

特に中期選抜の場合は、評定の数字が2倍になる副教科(音楽、美術、体育、技術家庭)の成績を高く取っておけば、合格率を高めることができます。
前期選抜(A1)での合格はよほど学校成績(報告書)が高くなければ合格は難しいです。9教科合計で40程度が必要だと考えておいて問題ありません。
3月にある中期選抜の学力検査は、以下のような配点で点数を出します。
数学 | 英語 | 国語 | 理科 | 社会 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
満点 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 200 |
仮に上述したような学校評定(9教科合計32を3年間)を取っていたとすると、学力検査での合格目安は7.5割、150点程度を目指す必要があります。
数学 | 英語 | 国語 | 理科 | 社会 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
30/40 | 30/40 | 30/40 | 30/40 | 30/40 | 150/200 |
ただ、年度によっては、
- 9教科合計32を3年間
- 「学力検査」で150点
上記2つを満たしても不合格になる場合もあります。「学力検査」で挽回できるとは限らないので、やはり普段から9教科合計で35あたりを目指しておくことと楽になります。
もちろん評定が高ければ「学力検査」が低くても問題ありませんし、その逆もまた然り。あくまでも総合点での勝負です。
公立高校の合格率を考えるにあたって、倍率も大切です。当然ながら、倍率の高い年度は合格基準も高まる傾向にあります。
3月上旬に行われる中期選抜の倍率です。
中期選抜 | 志願者/募集定員 | 倍率 |
---|---|---|
2018年度 | 128/112 | 1.14 |
2019年度 | 183/112 | 1.63 |
2020年度 | 147/112 | 1.31 |
2021年度 | 174/112 | 1.55 |
2022年度 | 134/112 | 1.20 |
例えば2019年度は倍率が非常に高かったため、
- 9教科合計で32程度を3年間
- 「学力検査」で7.5割150点
上記の結果を出しても合格が叶わなかった生徒もいます。おそらく1点2点の差であったと思われますが、やはり倍率が高くなっても一定程度の合格率を確保するため、日頃の評定を取っておくことが大切です。
逆に、倍率が低くなった年度ならば合格ラインは多少下がり、戦いやすくなる傾向にあります。
参考に、前期選抜の倍率も掲載します。
前記選抜 | 志願者/募集定員 | 倍率 |
---|---|---|
2018年度 | 108/24 (41/24) | 4.50 (1.71) |
2019年度 | 167/24 (41/24) | 6.96 (1.71) |
2020年度 | 119/24 (43/24) | 4.96 (1.79) |
2021年度 | 141/24 (39/24) | 5.88 (1.63) |
2022年度 | 128/24 (38/24) | 5.33 (1.58) |
上記のように、前期選抜では募集定員に対する志願者数が非常に多く、倍率が高いです。評定や学力検査に関しても、トップクラスでなければ前期合格は難しくなります。
上記表のカッコ内の数字は、A方式2型での数字を表します。令和4年度選抜においては以下の部活動での実績や意思が求められる、特別な選抜形式です。
- ハンドボール(男女)
- サッカー(男)
- ラグビー(男)
- 陸上競技(男子中長距離走)
- バレーボール(女)
- 硬式野球(男)

公立高校の前期選抜の受験型についての解説は以下の記事をお読みください。


洛北高校の全3コースを再掲します。
- 普通科 文理コース(1学年定員160名)
- 普通科 スポーツ総合専攻(1学年定員40名)
- サイエンス科(1学年定員80名)
このうちサイエンス科は文理コース以上の高い学力レベルを誇り、進学実績も京都府の公立高校としてトップクラスです。

しかしサイエンス科は中高一貫クラスであり、高校受験から入学することはできません。
サイエンス科の生徒は中学生から発展的な授業を受けているため、学力面では文理コースの生徒と差が出ていることは否めません。実績が高いのは当然の結果でもあります。
ただ、洛北高校は「文理コース」と「サイエンス科」で教師を分けておらず、いずれも対応できる先生が文理コースの教務にあたります。東京大学や京都大学への対応ができる先生へのアクセスがあることは、文理コースの生徒にとって大きなメリットになるでしょう。教育課程もサイエンス科と大きな変化は見られません。
堀川には探究学科群があり、嵯峨野には京都こすもす科があります。そういった専門学科を持つ高校は普通科のレベルが高くなる傾向があるため、洛北高校がサイエンス科を持つことは、文理コースをお勧めできる理由の一つです。

公立高校の普通科としては申し分のない進学実績があり、その進学実績を考えると入学難易度はそこまで高くありません。京都府の受験マーケットからは過小評価を受けていると言えます。
そういった理由もあり、高倉塾では大きく分けて2種類の生徒に洛北高校受験をお勧めしています。
- 専門学科を目指すが、評定が高くない生徒
- 公立志望で、高いレベルを目指したい平均的成績の生徒
京都府の公立高校では、普通科とは異なり、高い学力が求められる「その他専門学科」と呼ばれるコースを持つ高校があります。

その中でも、特に以下の3つのコースは求められる学力も高く、合格が難しいことで有名です。
- 堀川 探究学科群
- 嵯峨野 京都こすもす科
- 西京 エンタープライジング科
これらのコースでは、学校の成績は5段階評価でほとんど5を取り、なおかつ模試における偏差値も高い生徒が受験します。
ただ、専門学科の配点割合においては学校成績(「報告書」)の重要性が低いため、学校の成績がそれほど高くない生徒でも合格のチャンスが残されています。当日のテストで他の生徒よりも優れた点数を取れるのであれば、学校の成績が悪くとも合格できます。

上記3つの専門学科を受験する生徒は通常、「もし落ちたら、中期でその高校の普通科を受けよう」と考えています。しかし評定が高くない生徒は、堀川や嵯峨野の普通科に合格することはできません。報告書の点数が低い時点で勝負にならないからです。
したがって、そういった生徒のカバー先として「もし落ちたら、中期で洛北高校を受験する」という戦略は魅力的です。オール5レベルの高い評定は必要なく、進学実績が高いからです。専門学科を目標として勉強してきたのであれば、中期選抜の洛北高校は高確率で合格できます。
実際に高倉塾の卒業生でも、嵯峨野高校のこすもす科を目指しつつ、最終的には中期受験校を洛北高校に設定し、国公立大に進んだ生徒が複数人います。

「堀川、嵯峨野、西京の専門学科を受験したいが、評定はそこまで高くない」
こういった生徒は、中期で洛北高校を受験することも選択肢に入れてください。
成績は平均的、もしくは少し上(9教科合計で32程度)を取っている生徒で、なおかつ特に決まった志望校のない生徒にはよい選択肢になりえます。
まだ志望校が無くとも、学力的には上を目指したいと考える生徒も多いですし、そんな場合には洛北高校はよいハードルとなり、学力向上のきっかけとなる可能性が高いからです。
結局は「高校に入学してからどの程度伸びるのか」が最も大切ですが、その観点からも高い実績を持っていると言えます。
ここまで、洛北高校の入試や進路情報を解説しました。
しかし、本当に洛北高校が自分にフィットするのかどうか、自分にとってベストな選択肢であるのか、それはもっと慎重に検討しなければなりません。志望校として最終決定するためには、こういった記事の表面上の数字だけでなく、説明会やオープンキャンパスで雰囲気を確かめることが不可欠です。「合格したい」という気持ちを強めることができるかもしれません。