京都府の公立高校受験では、下記3校が御三家と呼ばれ、勉強が得意な受験生は必ずといっていいほど第一志望群としてピックアップします。
- 堀川高校 探究学科群
- 嵯峨野高校 京都こすもす科
- 西京高校 エンタープライジング科
これらの高校は大学合格実績も高く、高校受験においてはネームバリューもあるので競争は激しくなってきます。優れた大学合格実績の理由は、「教育の充実というより、そもそも勉強得意な受験生を集めているから」が半分以上を占めると思われますが、それを含めて考えても魅力的な選択肢ではあります。
例えば2023年度入試を志願者ベースで見ると、3校(3コース)合計で520名の椅子を964名が争う形になっています(ソース)。この “御三家倍率” は約1.85倍。つまり計算上はこの3校に入学したければ、同じ志を持って合格を目指す志願者の中で、上位54%に入らなければ合格ができないということです(これらの高校の志願者レベルを平準化した場合)。
これらの高校を志願する生徒は、多くの場合は勉強や受験に対して自信を持った生徒ですし、広告をたくさん出している集団塾の上位クラスに所属する場合も多いでしょう。
そんな中で自分が上位54%に入ることは、非常に難しいことのように思えるかもしれませんし、実際にそう感じている人はたくさんいるでしょう。
しかし、事実は異なります。御三家志願者の上位54%に入ることはそんなに難しいことではありません。ここからは実際の指導経験をもとに、「中学受験の経験もないし、学校の定期テスト勉強しかしたことがない。これらの高校に合格することには全く自信がない」と言っていた塾生がすんなり合格してきた秘訣(考え方)を指南します。
「自分では合格できないのではないか」「うちの子では無理じゃないの」と考える生徒及び保護者の方は、ほぼ間違いなく周囲のレベルや噂に振り回されています。「あの賢い子が受けるような高校だから、自分は難しい」とか「合格する人は本当に頭の良い人たちだから、自分ではついていけないだろう」など、冷静客観的に判断しているのではなく、全て周りが作る雰囲気に圧倒されているのです。
そういった時に心強い味方になるのはデータです(探究やエンプラもまた公開します)。
合格者が
- どれくらいの報告書点(学校評定)
- どれくらいの当日点
を取って合格しているのかを知ることがスタートです。そこで分かることは、こういった高校の当日試験では、6割を取れればかなり高確率で合格し、5割を切っても合格する可能性があるという事実です。合計点で5割ですから、極端な話、どれかの教科で1割しか取れなかったとか、0点であっても合計で帳尻を合わせれば合格するわけです。これが、周囲の声に圧倒されていては見失ってしまう事実です。
過去問を見てみましょう。おそらく受験生は過去問をパラパラと見る限り、その時期が早ければ早いほど「これは自分には到底解けそうもない」と感じるはずです。しかし実際は、半分不正解でも良いことを思い出さなければなりません。漠然と「これらの問題を正解しなければならない」と考えていては、今まで通り圧倒されるだけ。
難しい過去問を眺め、「これは私には無理だ」と圧倒されるのではなく、「全部解けなくて良い。トータルで50〜60%を確実に正答するにはどう勉強すれば良いだろうか?」と考えられるようになれば、その時点で他の受験生の1歩先を進んでいます。足を引っ張ってしまう教科はどれか?稼ぎ頭の教科はどれか?
ここまで個人的に考えて受験する人は、いくら勉強が得意な生徒がこぞって受験するとはいえ、2割にも満たないことは間違いありません。集団塾の生徒でも、この戦略デザインを個別には行なっていません。
合格したいのであれば、まずこのように考えて漠然とした不安を払拭し、わずかな受験者しか持っていない合格者のメンタリティを持つことから始めなければなりません。このような「戦略思考」ができれば、あっさり合格できることに気づくでしょう。合格した後に。
こういった難関高校を目指す生徒が持ってしまう最もよくある誤解は、下記のようなものです。
- 頭の良い人しか合格できない
- 難しい問題をたくさん解かないと、合格の力はつかない
これらは完全な間違いです。特に2の「難しい問題をたくさん解かないと、合格の力はつかない」に関しては誤解であるどころか逆効果であって、「応用問題ばっかり解いている生徒ほど、どんどん合格率が下がっていく」現象がたくさん見られます。
応用は全て基礎からの派生であるところ、応用ばかりに取り組まされた生徒はその基礎のほころびをいつまで経っても埋めることができないからです。この典型例を毎年欠かすことなく目の当たりにしています。
先ほどの話に戻しましょう。合格するには、5割ないし6割の得点率が取れれば十分です。それは逆に言えば、5割6割の得点を取らなければならないということです。実はその5割6割の得点はほとんど、「これならば多くの受験生が解けるであろう」と思われるような、基礎に毛が生えた程度の問題で構成されているのです。
- 復習はそこそこに、応用問題に比重を置いて取り組んでいた
- 復習と基礎問題を大量に解いておき、応用問題は最後の期間に取り組んだ
この2種類の生徒が戦ったとき、5~6割の得点を、つまり「基礎に毛が生えた程度の問題」を確実に正答できるのは 2 の生徒です。1の生徒は、努力の甲斐あってアクロバティックな問題を解けてしまうかもしれません。しかし、弱点をはじめとした「本当は復習に時間をかけるべきだった単元」を落としてしまう可能性がかなり高く、本人の「今まで頑張ってきた」自信と当日の得点率が全く比例しない結果となるリスクが高いです。これが、塾の責任者として最も避けてあげたいと感じるリスクです。
なぜ、「中学受験の経験もないし、学校の定期テスト勉強しかしたことがない。これらの高校に合格することには全く自信がない」と訴える生徒が合格しやすいのか、もうお分かりいただけたと思います。彼らは難関高校レベルの応用問題など解いたことはありませんが、定期テストのレベルはしっかり勉強できていることもあり、いわゆる5〜6割の「取れる問題」を確実に正答することをトレーニング次第で達成できるからです。
こういった生徒が、
「基礎よりも応用問題を解きたい」「応用問題を解かないと不安だ」
これらの誘惑にしっかりと打ち勝ち京都府の普通科レベルの基礎を大切にして受験勉強を頑張ると、5~6割を正答して意外と合格できるのです。
一貫して伝えたいことは、「雰囲気に流されずに合格するための得点率を考え、そのために基礎問題を大事にしませんか」のメッセージです。
具体的に考えられることは例えば、
- 合格点を見積もり、理想の得点分配を考える
- 目安として、京都府の普通科過去問(前期&中期)レベルをたくさん解く
- 必ずどこか間違える。その部分の解説を受けて基礎テキストも一通り解いておく
などなど、派手ではないが地道な「自分の苦手分野や、面倒で目を背けてきた単元を片付けてゆく努力」を意識しましょう。きっと、気持ちも楽になって集中して受験勉強ができるはずです。
これを徹底させることが、合格率を最大限に高めることを課せられた塾の仕事でもあります。がんばれ受験生。