個別指導塾を運営していますと、毎日のように中高生の勉強に関する悩みを聞いたり、解決法をチェックするようになります。成績を上げるためには、やみくもに勉強するより、効率的な方法で取り組みたいところ。
今回は、「中学生・高校生の勉強法」に限ってその最低限のコツ・条件を書いてみたいと思います。「成績を上げたいなぁ」と思ってこのページを読んでる人、いますよね。このページを読む
「勉強して成績あげたいけど、全然やり方が分からん!」という人や、「子どもにどうやって勉強させたらいいか分からない!」という保護者の方は是非とも参考にしてください。
目次
中学生・高校生の勉強法 技術編
まずは、基本的なノートの作り方から。成績がいい生徒は「頭がイイ」のではなく、「勉強の技術や方法を知っている」ということです。成績を上げたいのなら、その技術をがんばって習得しましょう。
絶対に、キーワードが赤シートで消えるようにしておけ!
これは最低限ですね。でも一応書いときます。
まずは黒のシャーペンで書いていって、大切なところは赤ペンで…というのがふつうのノートの作り方ですが、必ずもうひと工夫しましょう。
暗記のために使う、赤シートってありますよね。重要ワードをオレンジやピンクのペンで書けば、赤シートをかぶせば消えるようになります。
「重要ワードが消えるようになっている」状態はとても大切で、コレができていると、何度も「赤シートをかぶせながら頑張って重要ワードを思い出す」ということができるようになります。この、「頑張って思い出そうとする」ことは、メチャクチャ記憶の強化に役立っています。
必ず、赤シートで消えるノート作りをしてくださいね。
- 赤シートで重要ワードが消えないノート…思い出す訓練ができないから、覚えにくい
- 赤シートで重要ワードが消えるノート…思い出す訓練をたくさんできて、覚えやすい
自分の直感を信じて蛍光ペンを使え!
学校で先生の授業を聞いているときとか、蛍光ペンでチェックしますよね。教科書の太字のところとか、先生が「ハイ〜それではココに赤線ひいてください」とか言う時です。もちろん、大切なところはしっかりチェックしておきましょう。
しかし、それだけで満足してる人はシロウトです。
赤ペンや蛍光ペンは、自分が「なんか大事じゃね?」とか「へ〜〜〜」と思ったところにもひきましょう。テストに出なさそうでも、関係なくひきましょう。
なぜかというと、「なんか大事じゃね?」とか「へ〜!」とか、自分で考えついたことは印象に残りやすいからです。ちょっとした感動体験になっていて、1ヶ月後にノートや教科書を読み直しても、「あ〜そうだった」というふうに、思い出すことができます。
- 先生に「線をひけ」と言われたところに線をひく…記憶に残りにくい
- 自分で「へー」と思ったところに線をひく…記憶に残りやすい
この点のすばらしい部分は…、記憶のキッカケがたくさんできるところ。先生が「ココに赤線ひいて〜」とか言う部分は大事だけどあんまり覚えてません。でも、「へー」と思って線をひいたところは思い出しやすくて、それがきっかけになって次々と他の部分が思い出せます。
だからまず、「ここは線をひけとか言われてないから」とか、他人任せの発想をやめて、自分の直感で蛍光ペンを引くクセをつけましょう。
これで、後でノートや教科書、プリントを見返したときにテスト勉強が100倍やりやすくなりますよ。その部分をキッカケに、すぐに全体が思い出せるからです。
- 先生に「チェックしなさい」と言われたところだけ赤線や蛍光ペンを使う…シロウト
- 自分で「大事じゃね?」「へ〜」と思ったところにも赤線や蛍光ペンを使う…プロ
これは私が中1のときに、隣の席の女の子がプリントに蛍光ペンを引いているのを見て、「アレ、ここって先生に蛍光ペンをひけって言われたっけ?」と聞いたら「いや、自分で大事そうだと思ったからチェックしておいた」と言われ、「この子…スゴイ。俺はシロウトだな」と感じたことから始まったやり方です。ありがとう。
注意:ハリキリすぎて赤とか蛍光ペンだらけにするのは逆に分かりにくくてダメです。
関係ないところも、ノートにメモしろ!!
これも上に書いたことと似ているのですが…、いわゆる板書ですね、先生が黒板に書いたことをノートに写していくやつです。普通は、先生が書いたことをそのままノートに写します。マジメな生徒ほど、しっかりと抜けモレなく先生の黒板をノートにうつしていきます。
しかし、それではただのシロウトです。
先生が黒板に書いたことだけではなく、必ずノートには自分が「なるほど」とか「これ大事だな」と思った点を書きましょう。テストに出ないだろうな、と思うことでも全然問題ありません。とにかくメモっておきましょう。
ノートでも、教科書でもどっちでもいいので、とにかく先生の言ったことの中で「大事だな」と思ったことを書きまくってみましょう。
以下のYouTubeを見てみましょう。
東大生とかはどうでもいいのですが、2分50秒から7分10秒までをよく見てみてください。
簡単に言うと、
- 普通の学生…先生が黒板に書いたことだけノートに写した
- 東大生…黒板に書いていないことも、ノートに書いた
という話。
「じゃあ、なんで先生が黒板に書かないものも書いたほうがいいの…?」ということですが、これも記憶のキッカケを作るためです。
先生が黒板に書いてないのに、わざわざノートに書くということは、少しでもあなたが「ふーんなるほど」と感じたところです。その部分は、非常に記憶に残りやすい。
その記憶に残ったところから、芋づる式に周りの重要事項を思い出すことができます。あとでノートを見ても、非常に復習がしやすくなります。
こんな感じで、オレンジの重要事項の周りに線をひっぱって、疑問に感じたことや印象にのこった先生の説明などを書いていくのもいいですね。ノートを自由に使いましょう。全てが思い出すキッカケになります。
私の知り合いにも、飛び級で東京大学の大学院に行った賢い女の子がいました。大学時代に教科書を見せてもらったら、細かいボールペン字でギッシリと余白にメモが書かれていて、余白が全部まっくろになっていました。少し気持ち悪かったです。
その子は、「書いておかないと後で思い出せないから」と言っていました。やっぱり賢い子は違いますね。
自分を信じないこと。
人間は一回できただけで、「もうできるようになった」と勘違いしてしまいます。
例えば10個の単語を覚えたとすると、多くの人は「このページの単語は覚えたから」といって復習をおろそかにする人がいます。でも…、脳みそはドンドン古い情報を忘れていきます。脳みそに、かなり強くスリこまないと、記憶はつかないと思いましょう。一回覚えていただけでは、絶対に本番までに忘れてしまいます。
この「一度解いたから、もう解けると思い込んじゃって、テストで解けなかった」というワナに引っかかっている人は多いですよ。
数学や理科の計算問題でも同じ。一度解いただけではテストで解けません。たとえ一度解けたとしても、「まだまだ私はできていないの!」と自分を疑う姿勢を身に着けてくださいね。
つまりは…、「同じ問題でも何回も解け!」ということです。テスト範囲の問題集のページは、3周ずつ解く意気込みで取り組んでみましょう。分かっていても、もう一度解くことで、脳にやっとスリこまれます。スピードも高まりいいことずくめです。同じ問題でもOKです。
とにかく、「コイツ(自分)は一回解いただけでは理解していないぞ」ということを強く意識して、問題集をリピートしてくださいね!ページのどこかに回数の「正」の字をつけたりしときましょう。
問題を解くだけに限らず、ノートも何度も見返して復習ですよ。
中学生・高校生の勉強法 環境編
勉強の方法は、技術だけではいけません。その技術をハイレベルに活用するために、環境も整えましょう。
スマホの電源を切ろう
こんなの当たり前ですが…、スマホの電源くらいは最低限、切りましょう。
気になって集中できなくなる、ということはもちろんなのですが、以下の記事を読んでみましょう。
「金魚の集中力は9秒しか続かないとされています。では、現代人の集中力はどのくらい続くと思いますか」
こう質問されたら、あなたは何と答えるだろうか。
正解はなんと8秒。金魚よりも短いのだ。
そうです、万物の霊長である我々人間様は、いつしか金魚に集中力で負けてしまったのです。スマホのせいです。LINEのせいです。Twitterのせいです。もうこんなに情けないことは、やめましょう。
温かい飲み物を用意しよう
コーヒーでもココアでも紅茶でも何でもいいのですが、温かい飲み物を用意して勉強することはオススメです。
理由は…、もちろん「リラックスするから」とか「カフェインで集中力が上がるから」とかいろいろあるんですが、そんなことよりも「勉強が楽しくなるから」が大きな理由です。
勉強って普通は全然したくないんですが、でも「温かいココアでも飲みながら」とか考えるとやる気が出てきます。人間は「楽しいこと・嬉しいこと」しかやる気が出ないので、楽しみをつけくわえることは効果的です。
スキな音楽を聴きながら勉強しよう
これも「温かい飲み物」と同じ理由で、勉強を少しでも楽しいものにするための工夫です。
本当はやりたくないものを少しでも「やりたい!」と自分に思わせるためなら、どんなことだってやりましょう。「スキな音楽でも聴きながら勉強するか」と思ったらやる気が出ます。全然違います。
しかも、特に英単語や理科と社会の暗記などは、音楽を聴きながら行ったほうが、静かな状況で行うよりもいい結果がでるという実験結果があるくらいですね。音楽は、記憶を思い出すときのキッカケになることもあるようです。
「音楽を聴きながら勉強したら、親に怒られる」という人もいて、難しい話なのですが…、自分の人生なのでこの際、自分の意見を通してもいいんじゃないでしょうか。
「音楽を聴きながら勉強したら効果が落ちる」という説もありますが、特に根拠はありません。しかもそんなこと守ってたら勉強が楽しくならないので、無視しましょう。
※でも数学の難しい問題とか、ウンウン考える必要のある場合は音楽がジャマになるときも。自分で判断しましょう。
場所を変えて勉強しよう
勉強を同じ場所でやるよりも、いろいろな場所で勉強したほうが、効率が圧倒的に高まります。
毎日毎日、同じ部屋で長時間勉強している人が多いと思いますが…、いろんな場所に出かけましょう。
- 自分の部屋
- リビング
- 放課後の教室
- 図書室
- カフェ
- 塾
- 電車の中
など…、他にもいろいろあるでしょう。
ある実験によると、同じ場所で2回単語を暗記させたグループより、違う場所で2回単語を暗記させたグループの方が成績がよかったようです。
テストの点数には著しい差が現れた。
2回とも同じ部屋で勉強したグループは、40単語のうち平均16個思いだした。
勉強する部屋が変わった学生は、平均24個思いだした。
単純に勉強する部屋を変えただけで、思いだす数が40パーセント以上ふえた。
Benedict Carey『脳が認める勉強法』(ダイヤモンド社、2014年)
- 同じ場所で2回暗記する…あまり覚えられない
- 違う場所で2回暗記する…よく覚えられる(40%増加)
単純に、違う場所で勉強するだけで成績が今までよりも上がるわけですね。自分が集中できる場所をたくさん探して、さらにどこでも集中できるように自分を慣らしておきましょう。
「勉強を楽しくする」ことに集中しよう
いろんな勉強法をザーっと書いていきましたが…、どれもこれも、基本的には「勉強を少しでも楽しくしよう」という意図のもと書いていきました。
「先生の言っているところ以外もメモする」とか、「温かい飲みもの」とか「音楽を聴きながら」とか、今までよりも勉強をエキサイティングに、楽しくするための方法です。いろんな刺激が発生しますもんね。
勉強をがんばらないといけない中学生・高校生は、とにかく「勉強を楽しくすること」を考えましょう。友達と問題をだしあいっこするとか、お小遣いもらってカフェに行って勉強するとか。
“Just as food eaten without appetite is a tedious nourishment, so does study without zeal damage the memory by not assimilating what it absorbs.”
食欲ないのに食べたら体に悪いのと同じで、熱意がないのに勉強しても記憶に悪いよ
レオナルド・ダビンチ
ということで、楽しく勉強しましょう…。
勉強法に関しては、以下も参考程度にどうぞ…。
塾で眠いときの解決方法5つ書いてみました。個別指導塾の講師も、こういう風に対応してあげましょう…。
勉強なんか、何のためにするの??という答えは、「脳の筋トレ」じゃないかと思う話。
生徒をご褒美で釣れば、成績が上がります!背筋を伸ばすだけでも、成績が上がります!という研究結果について塾講師が考えるべきこと…