難関校の合格率を上げるため、応用ではなく基礎テキストを使ってほしい理由

塾ごとに色々な方針はあるとは思いますが、高倉塾ではいかなる難関高校を志望する塾生に対しても、極端に難しい応用テキストは渡していません。定期テストレベルの基礎テキストに加え、少しの応用が掲載されているテキストを渡すのみです。


京都府の公立『その他専門学科』や難関私立高校を志願する2024年度受験生に取り組ませているテキストを時系列で表してみます。

  1. 定期テストレベルの基礎テキスト(iワーク)
  2. 通年用の少し応用テキスト(新中学問題集)
  3. 受験のための基礎テキスト(シリウス まとめと完成)
  4. 京都府公立高校の過去問
  5. 志望校や類似校の過去問

この他にも実力アップのための「模擬試験の過去問」なども入ってきますが、長く向き合うのはこの5種類に落ち着いてくるでしょう。京都府の高校であれば、最難関高校であっても絶対にこれで十分です


「難しい高校を目指すなら、もっと難しいテキストが必要ではないのか?」


このように考える人の方が多いですが、事実は正反対であって、むしろ難しいテキストはあなたの合格率をジリジリと下げる危険がある。基礎テキストから頑張ってみませんか?という話をします。


特に、「問題集が難しすぎるかも」と思って自信を失いがちな受験生にはこれを読んで、気を楽にしてほしいです。

「応用問題」「難しいテキスト」とは?

ここでいう「応用問題」「難しいテキスト」とは、有名な集団塾の上位クラスで利用されている分厚いテキストや、市販でも「超難問」など書かれているテキストのことです。難問がスラスラ解けるレベルに達しているのであれば、利用すること実力がアップします。

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しかしもし、そこまでのレベルに到達しておらず「これから頑張って少しでも合格率を高めたい」と願っている生徒は使うべきではないので、そういったテキストは一旦押し入れに片付けてください


「定期テストレベルの問題から、ちょろっと高校入試レベルのものも掲載されている」程度のテキストをどんどん利用してほしいです。

基礎だけで合格点は取れる

下記ブログで触れているように、難関高といえども、5割近くは確実に「基本を掴んでいれば得点できるはずだ」と思われる問題で構成されています。全部が全部、センスを求められるような難しい問題で構成されているわけではありません

「堀川探究など御三家を目指しているけど、自信がない」という高校受験生が意外とあっさり合格する理由

これを図で表すと、

このようになります。合格ラインに到達するには、たくさんの基本と、少しの応用が解ければ良いことが分かります。


「合格したいです」という生徒がいた場合、塾として考えるのは「いかに基礎部分を確実に正答させるのか」の悩みが真っ先に来なければならないのであって、決して「いかに難しい問題をたくさん解かせるのか」であってはなりません


カツオやイワシが大量に取れる魚群が目の前にいるのに、それを無視してマグロの一本釣りに出かけるようなものだと思ってください。しかも試験では、イワシ一匹と本マグロ一匹が同じ1点なのです。


どうしてもマグロを釣りたければ、カツオやイワシを大量に捕獲してからにするべきです。しかし、そこがおろそかになっているのに、無理にマグロを釣りに行ってボロボロに疲弊している受験生が後を絶ちません。これは不幸なことです。

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まずは魚群を獲ることにこだわる

「難しい問題を解けるようにならなければ」と焦って難しいテキストに取り組んでいると、確実にとっておきたい得点を逃す可能性が高くなるリスクがあります。ぜひ、心配せずに堂々と基礎テキストをボロボロになるまで頑張ってください

難問の解法は、勉強時間あたりの得点効率が悪くなる

「受験生は、時間が無限にあるわけではない」ことからも、難しいテキストがあなたの合格率を下げてしまう理由が分かります。他の受験生だけでなく、時間との戦いにも手を抜かずに取り組むことが求められるため、効率性を重視して受験シーズンを送らなければならないのです。


入試問題を、大きく分けて3パターンとします。

  1. 基礎問題、多くの受験生が解けるであろうと想定されている問題
  2. 簡単ではないが、基礎からの推理を働かせれば解ける問題
  3. かなりの難問で、上位合格者しか解けないような難問

1から3に進むにつれて、

勉強時間あたりの得点が低くなっていきます(効率が悪くなってくる)。

例えば1のレベルの問題であれば、時間をかければかけるだけ、それが得点につながります。基礎ですから、それを愚直に解いて教えてもらうだけで、得点率はグングンと伸びていきます。


しかし、2のレベルを解けるようになるにはコツが必要であって、これは「いかにたくさんの経験を積み、推理を働かせることに慣れることができるか」が勝負になってくるので、1点を取るためにたくさんの勉強時間が求められます。


さらにレベルが上がってしまうと、これは年単位の修練が必要であり、「そのレベル1問解けるようになるために求められる勉強時間」が飛躍的に増えてしまいます。これは圧倒的に効率が悪いため、「この問題を解けるようになろう」と思って頑張っても、受験日には間に合わないことがあります

さらに、そういう問題の対策ばかりやっていると、完全に自信を失ってしまったり、逆に基礎がボロボロなのに「分かった気になる」などの副作用がとても大きいことは、そういった生徒を見ると悲しくなってしまいます。


もし自分が「効率の悪い勉強になってしまっているかもしれない」と思うのであれば、早く勉強方法を変える勇気を持ってほしいです。


合格点を取ることを目的として受験勉強を進めるのであれば、1と2をしっかり解ければ合格します。むしろ1と2をしっかり意識して解いた人ほど、試験当日では3が解けてしまうものです。大半の合格者は、そんな風にうまく受験シーズンを乗り切った人たちです。

良いテキストとは、どんなテキストか?

難関高校を目指す中学生にとって「良いテキスト」とは、

『1のレベルの問題がたくさん載っていて、20%くらいは2の問題が載っている』

ようなテキストのことです。


このブログで言う「難しすぎるテキスト」は、

『大半が2のレベルと3のレベルで構成されている』

ようなテキストです。


「とにかく合格したい」と考える中学生にとっては、とても効率が悪く、自信を失ったり、勉強の面白さを見失う危険性がとても高いものだと思います。


テキスト選びは、合否を簡単に左右するほどの力があります。

基礎とは応用の派生であって、楽しんで解くものであることを忘れない

基礎問題をたくさん解いて、原理原則が頭に入っているのであれば、少し頭が成熟すれば、3のレベルの応用問題もすぐに解けるようになります。


全ての問題は、原理原則が頭にしっかり入った状態で、そこから推理して解くべきです。その流れが「楽しい」と思える知的運動であるし、受験勉強もそのように乗り越えていかなければ、学ぶことが嫌いになってしまい、結局は将来にとってマイナスをもたらす結果になるでしょう。


「あの高校に入りたい!」と思って一生懸命に勉強するのに、それが自信を無くす原因になったり、勉強が嫌いになってしまったり。これ以上に悲しいことはありませんし、そんなことではますます合格から遠ざかってしまいます。



もし、「難しい問題を解けるようにならなきゃ」と思いすぎてしまい、疲れてしまったり、自信を失いつつあるのであれば、勉強方法をテキストから根本的に変えて取り組むようにしてください。早く変えるほど、あなたの合格率はまた高くなっていくことは間違いありません。そうやって復活し、合格した人をたくさん知っています。

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