一部の中学3年生はまだ部活の真っ最中ですが、「もう引退して夏休みは暇だ」状態の人もたくさんいます。どのような状況であれ、志望校や受験プランの確定は早ければ早いほど有利です。「ここに行きたい」と思う気持ちやその受験に対する時間が1日早く湧いてくれば、単純に受験の準備期間が1日多くなるからです。
受験プランへの理解が高まり、気持ちをそれに乗せることができれば、そこからの1日は今までよりも遥かに効果的に過ごすことができます。1ヶ月早く決めることができれば、受験の準備期間が1ヶ月長くなるわけであって、それは合否を十分に左右することは明らかです。
そう考えると、夏休みは受験プラン決定のラスト・チャンスと捉えても良いでしょう。ここからだと、受験日まで半年は準備期間があります。半年という期間は、「君では、この高校はなかなか厳しいよね」と言われる志望校であっても、十分に逆転できる期間ですし、これ以上大幅に遅れたくはありません。
今回では、高倉塾で現在行なっている進路指導のフォーマットやその内容を簡単に紹介します。
- 現在の成績、塾内小テスト結果
- 模試の結果
- 受験戦略立案会 確認書
上記3セットを用意し、三者面談で今後について相談しています
現在高倉塾では、夏期講習会の一環として『受験戦略立案会』を行なっています。内容は説明会動画とそれに基づく三者面談であり、それをそのまま進路指導として本人と保護者の方に提供しています。
上記写真は、三者面談で最初にお渡しし、議論のベースとするための資料です。事前調査票にて提出していただいた志望校リスト(ランキング)を元に、ひとまず現段階で考えられる受験プランに落とし込んでいます。
多くの場合は、まだまだオープンキャンパスなどに行っておきたい高校もあり、全ての「受けたい高校」が決まっているわけではありません。後に変更や微調整があることは大前提として、ひとまずこの時期に受験プランを決定することこそ、これからの受験に気持ちを乗せるために重要です。変更は後からいくらでも可能です。
2月10日の私立受験に始まり、最後の中期に至るまで、自分の受験フローをイメージして欲しいです。
また、現段階で高倉塾で想定している合格率も伝えます。
本人や保護者の方も、初めての高校受験は大きな不安があるはずです。
- どれくらいの成功見込みがあるのか?
- 絶望的なのか?希望があるのか?
- 過去、同じ状況の人はどんな結果になったのか?
などなど、こういった疑問に対してある程度の見積りが欲しいのが正直なところだと思います。
もちろん、現段階では根拠のある数字を伝えることはできません。しかし、
- 過去、その高校に合格した塾生の人間性や成績
- 本人の普段の塾での様子
- 担当講師からの毎回授業の報告
これらを慎重に総合的に考えた上でひとまずの合格率を提示しているので、全く根拠がないわけでもありません。生身の人間性を見た上で答えを出しているので、模擬試験の判定よりは信頼できる数字を伝えられると思います。
30%であれば、「3回に1回は受かるかもしれない」ような確率を意味します。もちろん、ここからの努力で合格率を高めていくことが大前提です。
裏面には、
- 想定しておくべきワースト・ケース
- 高倉塾からのコメント
の2つをメッセージとして記載しています。
ワースト・ケース。つまりは「高校受験を失敗したとして、最悪のケースはどんなものだろう?」に対する答えを出しておくことです。
毎回の進路指導では、その受験生におけるワースト・ケースを本人とご家庭の両方で知り、納得していただくことが絶対に欠かせません。
もちろん、ワーストケースを考えるということは、「ここも落ちたとします。次のこの高校も落ちるかもしれません…」といった、あまり気の進まない話をグイグイと深く切り込んでいく必要があります。進路指導している側も、聞いている側もそんなに気持ちの良い時間ではありません。
ただ、これこそが第一志望の合格率を高めるために不可欠な確認事項です。絶対に成功することなどこれからもあり得ませんし、失敗を受け入れる強さが求められる経験もたくさんすることでしょう。そういった広い視野で、人生の一部として高校受験を捉えると、
自分は高校受験を目標に向かって全力で頑張る。しかし、惜しくもダメだった時も、その結果を受け入れてもっと成長できるようにしよう
と素直に思える状況を作ってあげることが1番重要です。自分にとって難しい高校、合格したら大喜びするような高校を受験する限り、常に不合格のリスクは勇気を持って受け入れなければなりません。その精神的な準備が整ってこそ、長期に渡る受験勉強に打ち込むことができます。
「受験が近づくにつれて不安が大きくなっていく」ような話はたくさん聞きますが、その傾向が強すぎる場合は、おそらく本人や家庭でこのワースト・ケースの正しい想定ができていないことが多いです。
- ワースト・ケースがあらかじめ把握できている
- 尚且つ、もしそうなっても前向きに頑張れる
進路指導にあたっては、上記2点がしっかりと満たされるような受験プランを探っていくことがいかに大切であるかが分かります。
相談し、提案を要望にしたがって微調整したら、最後にチェックリストを確認して終了です。
上記のチェックが全て完了して初めて、思い切った高校受験が実現します。
繰り返しになりますが、特に1番大切なのは上から2つ目の項目です。
絶対に上手くいく受験はありません。上記のワースト・ケースは、あなたにとって受け入れられるものですか?そうなっても、悔しさをバネに、前向きに高校生活を頑張れそうですか?
2024年度高校入学生 受験戦略立案会 確認書
これが納得できるプランを、三者面談にて確認できたのであれば、もう高校受験は半分終わったようなものであり、あとは希望を胸に第一志望合格のための行動をするのみです。
これを妥協なく相談して作ることで、「第一志望を思い切った精神状況で目指す。例えそれが失敗したとしても素晴らしい道がある。何も怖いものなどない!」と言い切れるような、理想的な受験シーズンを作ることが進路指導の目的です。